2012年01月01日 14時19分更新
そこで、氏はどうしたかというと、これらの対策を止めさせたうえで、社員に「QCS以外のことを考えなくていい」と言って根本的解決策を実施した。
QCSとは、Quality(品質)、Service(サービス)、Cleanliness(清潔さ)の略でマクドナルドをはじめとする外食産業の原点となっている言葉だそうだ。
具体的には、できたてハンバーガーを素早く提供する新しい厨房システム「メイド・フォー・ユー」の普及や、ES(従業員満足度)を高めるという手を打ったそうだ。
赤字続きの外食産業で社員の削減に取り組むところはあっても、社員の満足度を高めようとするところはなかなかないと思うが、原田さんは、「ESの向上→退職率の低下→ノウハウを持ちモチベーションの高い社員の増加→顧客満足度の向上→売上げの増加」というシステムが見えていたそうだ。(※参考:日経ビジネス2011.7.11)
さて、では生命保険業に内在するシステムとはどのようなものであるのか、引き続き考えていきたい。
例えば、今月の挙績が難しいというセールスは多いと思うが、そうすると月内挙績へのプレッシャーから、すぐに契約できそうな見込客探しが始まる。
いったんの流れが始まると、見込客の刈り取りが起き、長期的な見込客づくりがおろそかになっていく。
長期的な見込客とは、「今は必要無いが、その時にはお願いする」というお客さまであるから、「その時」に選んでいただけるような何らかの魅力がなければならない。
その魅力とは、「コンサルティング能力」でも、「いろいろな情報を届けてくれる」「良く来てくれて、気軽に相談できる」というものでも良いのだが、拙速な営業手法を採っていると、そのような魅力づくりにかける時間も熱意もなくなってしまうわけだ。
あとは、ジリ貧が待っている。
このような話は理屈では分かっても、自分ではなかなか実践できないという人が多いものだ。
だからこそ、しくみが見えるマネージャーの存在が重要になるのではないだろうか。