2011年12月10日 09時30分更新
眼の病気には、白内障、緑内障、黄斑変性症、糖尿病性網膜症、ぶどう膜炎などさまざまな病気があります。また全身性疾患の部分症状として眼症状が起こることも。眼が悪くなると直ちに日常生活に支障を来たすことになるので、眼疾患はとても重要です。
さらに、生命保険会社は眼疾患について特に敏感です。というのも両眼を失明すると高度障害状態となり、死亡保険金相当額の高度障害保険金を支払うことになるからです。普通保険約款には、7つの高度障害状態の1つとして「両眼の視力を全く永久に失ったもの」と条項の一番目に定義されています。したがって強度近視や眼疾患を罹患していると生命保険や医療保険への加入が困難なことがあります。
さて、白内障は高齢者の病気としてよく知られていますが、目がかすむ、明るいところへ出るとまぶしい、物が二重に見える、飛蚊症などの症状がでてきて、眼の水晶体とよばれるレンズが曇れば白内障の手術(水晶体超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術)を受けることになります。水晶体が白くなることから、白内障は昔からしろそこひ(白底翳)とよばれていました。白内障の手術は、眼科手術の8割を占めるほどにポピュラーな手術となり、安全に眼内レンズを交換することができます。したがって白内障になって両眼の視力を失ったとしても、手術適応がある限り高度障害とは認定されません。
白内障の手術は、医療保険において手術給付金の支払対象です。さらに、眼内レンズとして遠近両用の多焦点眼内レンズを使用すると先進医療特約の支払対象となります。高齢者人口の増加により白内障の手術も増加傾向にあり、手術給付金の請求もうなぎのぼりです。保険会社の立場では頭の痛いところですね。
白内障に対して、昔からあおそこひ(青底翳)とよばれていた緑内障は、もっと危険で失明の原因の第1位です。一般に人間ドックなどの眼圧検査で、眼圧が高いと緑内障の疑いがあるということで眼科専門医による精密検査を受けるように推奨されます。しかし眼圧が正常な緑内障が実は緑内障患者の6割を占めます。これを正常眼圧緑内障と呼びます。一般的に緑内障では、自覚症状がほとんどなく、知らないうちに病気が進行していることが多いです。視神経の障害はゆっくりと起こり視野も少しずつ狭くなっていくため、目に異常を感じることはありません。逆にいえば、視野欠損の自覚つまり視野が陰って暗いことに気付いたのなら、緑内障はかなり進行していて重症です。
したがって緑内障の早期発見のためには、眼圧検査だけでなく眼底検査や視野検査を受けることが大事でしょう。特に眼底検査では、視神経の状態を見るために視神経乳頭を観察します。この視神経乳頭の陥凹が拡大していると緑内障の可能性があります。