2017年06月15日 18時05分更新
銀行や信用金庫などの預金残額は2017年3月末時点で、過去最高の1053兆円になったと報道されました。
日銀のマイナス金利政策で金利はほぼゼロにもかかわらず、中高年が虎の子の退職金や年金を預け続けています。預金は銀行の貸し出しの原資ですが、今は活用されないまま積みあがる「死に金」。これでは日本経済が湧きたたない訳ですよね。
では銀行は何で生きていくのか?
ここ数年は完全に「保険販売による手数料」が大きな柱でした。ターゲットは「退職者」の退職金!預金していてもマイナス金利ですので、退職金の一部を保険にシフトして資産運用させようとし一昨年は年間5兆円もの資産形成系保険を取得し膨大な販売手数料を稼いでいました。しかし、銀行窓口販売では金融庁からの圧力もあり、顧客に対し「手数料開示」を自主的にすることになり、取り扱いは一挙に減りました。流石に、顧客に「これだけの保険料を戴くとこれだけの手数料が入りますが宜しいですか」では商談も進み辛いですよね。当然、保険会社も手数料開示されては「そんなに手数料払ってもやっていける保険会社って何だ」という展開にさせないために窓口販売手数料を下げてしまいました。追い打ちをかけるように、マイナイ金利下で資産形成系保険も一斉に値上がりしたり、売り止めになったりして売る商品自体も無くなくなって来ました。
そこで、銀行は「子会社である保険代理店」の活用に着手し始めています。銀行自体で言えば、駅前立地の支店は不要と言われています。Dr.ウエノも家の近くの銀行を使っていますが、一階のATMに行くことはあっても2階のフロアに行くことは皆無と言っても過言ではありません。駅前に立派な建物を有して多くの行員を抱えておく必要性が無くなっています。この流れで駅前立地の銀行支店は次から次へと無くなっています。で、この無くなった銀行支店を如何に活用するかで、銀行子会社保険代理店の登場となります。
銀行子会社保険代理店は、保険以外に投信であったり、カードローンであったり、不動産仲介であったりと色々な業務が可能です。だって「ノンバンク」ですから。
保険については、ターゲット層を従来の「退職者層に対する資産形成系保険販売」から「リテール層に対する保障系保険販売」に大きく舵を切ろうとしています。しかし、この「リテール保険販売」はそう簡単に出来るものではありません。特に年収と変なプライドの高い行員さんには勉強したからと言って出来るものではありません。
そのため、銀行子会社保険代理店が、地元保険代理店を買収、或は保険ショップ代理店との業務提携に走っています。保険ショップ代理店との提携による銀行支店をショップ化する展開は既に50店舗を越し、買収も数行が実施しています。
でも、それだからと言って進展すると簡単なものではありません。
保険販売の「根っこ」が分からないと無理です。
「Know How」ではなく「 Know Who」と何年も言い続けていますが、分からない方が多く、その意味では、まだ暫くは保険代理店業界も安泰なのでしょうか?