2012年08月03日 18時32分更新
以前にご紹介した2012年1月13日に出ました逆養老の最高裁判決について、詳細を読みますと非常に興味深い一文がありますので、改めてご紹介いたします。
興味深いのは、判決文とは別に1人の裁判官が補足意見として述べている部分です。
-以下引用-
2 次に、租税法律主義の下では、国民(納税者)は,現在の租税法規に基づく課税関係に依拠して経済活動等を行うものであるから、そこにおける法的安定性や予測可能性が保護されるべきところである。
しかるところ、所得税法34条2項の「その収入を得るために支出した金額」という条文を普通に読めば、ある個人が一時所得に係るある収入を得るために負担した支出があるなら、所得税課税の対象は、その支出を差し引いた上でのその個人が稼得した経済的利得であるべきで、その収入全部に課税するのは不合理である(逆にいえば,その支出をした者が別人であれば収入金額全額が経済的利得たる所得であってその支出を差し引いた金額にしか課税しないことは不合理である)という趣旨に読まれると思われる。
したがって同条項で、収入を得た者と支出をした者が同一でなければならないとの前提が採られているという点は、一般的な常識に合致するものであろうが、その点は別にしても、本件に即して更に立ち入って考えれば、法人税額算出に当たって損金経理されるという方法で保険料のうち非課税とした半額部分を、更に所得税額算出に当たっても控除されるべき金額として扱い、そのことによって重ねて非課税とする結果を生じさせるというようなことは不合理であろう。
-引用終わり-
ここの文章で赤字にしている部分について、簡単に言えば「法人で経費にした部分を個人で非課税するのは良くないだろう」と言う事です。
この事実は結構重いと思います。
なぜかと言えば、司法判断として法人での1/2損金処理を容認しており、損金処理を前提としているからです。
法人税基本通達9−3−4に明記されていない損金処理について、一定の見解を示しています。という事は、現時点において法人での1/2損金処理を、その事だけを捉えて否認する事は事実上困難になりました。
要するに国税庁側は、法人税基本通達9−3−4に追加をして逆養老プランに対して明確なルールを示さない限り、経理処理を否認する事は出来ないと思います。
これが、逆養老に関する法令や背景の現状です。
これを踏まえた逆養老に関する解説はコチラのメールマガジンでも行っておりますので、宜しければご参照下さい。。。
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