2013年09月07日 07時01分更新
不整脈という告知は、生命保険の新契約引受査定者が査定に困る告知です。心電図検査結果に基づく医師の正式な診断名が告知書に書かれていれば正しく査定されますが、そうでなければ評価は厳しい方向へ傾くことになります。一般に 病院の外来心電図検査で見られる不整脈は、心室性期外収縮、洞頻脈、心房細動の順に多いとされています。
心室性期外収縮とは、心室から起こる期外収縮です。規則的な心拍が過敏な心臓内中枢の早期の興奮により乱される状態です。心室性期外収縮は、基礎疾患がなく、1分間に起こる回数が少なく、期外収縮が連続して発生しなければ、放置してよいことが多い。心筋梗塞、特発性心筋症、QT延長症候群などの基礎疾患による場合は、治療する必要があります。特に高齢者の心室性期外収縮については、基礎疾患の有無に注意する必要があるでしょう。
洞頻脈は、心房興奮頻度が毎分100以上の洞リズムです。心房興奮頻度は、正確には心電図で1分間に現れるP波の個数により決まりますが、通常心房と心室の興奮の頻度は同じであることから脈拍数で代用されます。つまり洞頻脈は心拍数100以上をいいます。洞頻脈が起こる原因としては、運動、発熱、精神興奮などの生理的なものから、甲状腺機能亢進症、貧血などの基礎疾患があるので注意が必要です。
心房細動では心房興奮頻度は350~600/分に増加します。心房細動では心室が十分に拡張し収縮することができいないため心拍出量が低下します。心室性期外収縮と同じように脈拍の欠損も観察されます。さらに心房細動は、心房内血栓の形成により動脈塞栓(脳塞栓)を引き起こすことがあります。心房細動は、脳動脈を閉塞して生じる脳梗塞の危険因子です。心房細動に起因する脳梗塞の生命予後はよくないため、生命保険の加入も難しいことになります。慢性の心房細動患者では、血栓形成予防をするために抗凝血薬のワーファリン内服を行ないます。
同じ「不整脈」との告知であっても、性別や年齢により想定される不整脈の種類が異なり、よってリスクも大きく異なるから、お客さまには病名を正しく告知していただくことが重要です。 近年、カテーテルアブレーションなる医療技術が開発され、不整脈の治療に役立っているようです。