2018年02月01日 18時52分更新
損害保険業界は、国内損保の再編が金融危機後の2000年以降に相次ぎ、「メガ損保」に集約する動きが加速し、現在は、東京海上HD、MS&ADインシュアランスHD、SOMPOホールディングスの3メガ体制が確立されました。
何と、この3メガ損保で国内シェア90%を占めるとされていて、全く競争原理の働かない無風地帯でしたが、1月29日の朝刊で、久しぶりにビックリのニュースが報道されました。
何と、楽天が朝日火災を買収して、損保事業参入というものです。
楽天は2013年に生命保険事業に参入、今回の買収で生損保を手掛ける体制となります。
年度内にも野村HDや野村不動産が所有する朝日火災の株式を取得し、個人が所有する残りの株式も含め、2018年夏までに100%子会社化を目指すそうです。価格は400億円~500億円。
楽天は銀行やカードなど金融事業を強化していて、9000万人超の会員データを抱えているのが強みで、こうしたデータを活用し、既存の損保と異なる商品を開発すると報道されていました。
例えば、ネット通販でベビー用品を購入した家庭には子どもがいるといった具合に、購買履歴から家族構成や生活パターンを予測し、生活様式などに応じ、保険料をきめ細かく設定できるようにする方針です。
楽天が展開するネット通販や旅行予約サイトに加盟する企業・施設向けにも商品を提供するとしています。楽天は生命保険代理店を買収しており、楽天の仮想マーケットに出店している企業にオリジナル商品を販売できれば、効果はあると考えますし、メーカーを持つことで保険代理店の合併を加速し、強固な販売網構築を目指すと考えます。
楽天は民泊事業にも参入しており、民泊に使う宿泊施設を提供する事業者向けの火災・家財保険の開発などを想定してそうですが、現実になれば勝てる気がしませんね。
フィンテックの台頭でネット企業が金融業界に相次ぎ参入しています。
対話アプリ大手のLINEは資産運用サービスへの参入を発表し、ヤフーもAIを活用して運用する投資信託の販売を始め、メルカリは金融事業を手掛ける新会社を設立、DMM.comは証券業や仮想通取引事業に参入しています。
そもそも少子化や自動車離れ等で保険マーケットは縮小している中、このように「業界の垣根を越えてのパイの奪い合いが過熱」し始めています。
勝てない時代に突入すると仰る方もいますが、この状況下でも勝てる方法はあると考えています。しかし、そのためには、現状から変化することです。
変化しない者は生き残れないことを今一度認識すべきだと思います。
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