2019年05月30日 18時23分更新
「スモールマス市場」をご存知でしょうか。
マスではないものの一定の規模の市場が見込める消費者の層や集団に対し、SNSの普及やビックデータ解析の技術進展で、消費者の年齢層や性別、所得水準などによって多岐にわたる好みや嗜好に合わせた商品を提供できるマーケットになります。
背景には「生活者行動の変化」があると言われています。
マス・マーケティングでは比較的、良い機能を持った商品が提唱する価値といったものに生活者の方が自分を当てはめていましたが、今ではスマホやSNSの普及より、簡単に情報を得たり、「誰でもが発信者になる」ことができるようになり、自分のスタイルに合わせたものを自ら選び、更に自分の情報として発信することが出来る時代に変化しました。つまり「この商品は自分と親和性が高いから当てはめて使う」時代から「自分はこうだから、この商品を使う」という変化が起きたのです。
本当に良い商品と思ってもらうためには、本当に必要な人に向けて発信していく必要があります。
そのため、ターゲットをしっかり絞る(=スモール化する)必要があります。本当に良いと考える層がある程度獲得できた時には、その方々がしっかりと商品の魅力を発信してくれる発信者となり、ボリューム化(マス化)していく施策の検討をつなげることができますので、スモールマスの考え方はデジタルやSNSとの相性が良く活用できると考えます。
もう一つの背景には「ブランドや市場の成熟化」と言われています。
ある一定のレベルを超えて市場が成熟すると、どの商品もある程度の質は担保され機能も充実していきます。こうした市場の中では、画一的な機能訴求力ではなく、より「この商品はあなた向きです」と発信していくことが重要です。
保険もまた「スモールマス」に焦点を当てる必要があります。昨今は保険会社が少額短期保険業者を有するケースも顕著で、スモールマス市場を探そうとする意図を感じています。
スモールマスを構築するには来店型保険ショップが適していると思います。実際に来店される不特定多数のお客様と接することで、消費者動向を把握することが出来るからです。とは言え、保険ショップにわざわざ来店する客層は限られます。そこで、誰でもが来る場所として今、調剤薬局内への保険代理店「サテライトショップ」に注目が集まっています。調剤薬局は毎月必ず行かなければならないという方が圧倒的にいらっしゃいます。しかも、殿業界も接したいと考えている「一番お金を持っていて数も一番多いシニア層」と会うことが出来る唯一無二の場所だと思います。こうしたシニアと色々な話をすることで、シニア独特のマーケットを把握し、保険商品開発や全く新しい保険募集スキームを構築できる可能性があると考えています。
調剤薬局はこの考え方に同感いただけるところが多く、最近は「調剤薬局が保険代理店事業をやりたい」とのお話を良く聴くようになりました。調剤薬局が保険代理店事業展開すれば一挙に巨大保険募集チャネルとして台頭する可能性があるとも思います。
スモールマスを構築するのにコンビニよりも店舗数が多い調剤薬局が動けば、半径5km圏内という超スモールマス商圏を押さえられると思いますね。