2019年05月16日 18時28分更新
中央大学経済学部で「保険アナリストコース」の授業を1回の授業100分、通年で28週という長丁場でお受けしていますが、学生たちには「10年後にどんな自分になっているかを想像してみて下さい」というテーマを考えさせています。
「会社に就職して8年の中堅社員になっていて、結婚してマンションを買って住んでいると思う」という一般的な回答や「起業して個人資産10億円を有している」といった回答もあったりして面白いですが、10年後の夢に向かって邁進するために、20歳では何をすべきか、25歳では何をなすべきかといったことを逆算して考えさせています。
この質問は、対象が20歳の大学3年生ですから、出来る質問だと思いますが、これを保険代理店にしたら、どんな回答があるのでしょうか。
「損保代理店を積極的にM&Aをして、収保300億円の損保代理店になっている」、「保険代理店として上場している」、「損保手数料を20億円、生保手数料を30億円にして広域代理店になっている」等々といった景気の良い回答をされる方は、おそらくないと思います。
むしろ、真逆の「廃業している」といった回答が多いのではないでしょうか。
これから間違いなく起こる現象については次のようなものでしょうか。
・損保で言えば、自動車保険は自動走行が普及して6割減少し、収保は半分に減少
・保険会社の手数料ランクが大幅に下がっている
・損保の専業専属代理店は直資代理店に全て吸収されている
・損保会社が直接保険の更改手続きを完了させ損保代理店は必要なくなる
・がんは治る
・周囲には元気なシニアばかりで、生産人口の主体を為す
・保険代理店主自体が高齢化
シニアの問題は確実に近づいていて、メイドさんがシニアの方ばかりというカフェも話題になっています。
こんな状況下になっては、代理店の収入は大幅に減っていて、保険代理店の経営は成り立たないですよね。代理店店主も顧客も高齢化し、AIの発達により仕事も学校の授業も家で出来、欲しいものがあったら店舗自体が自宅前まで来てくれるといった時代になっていて、「リスク」も大きく変化していると思います。人口減少の中、東京一極化が益々進み、消滅する自治体も出てきて、地方で保険事業しようにも対象となる人そのものがいないことも想定されます。
こうした未来を真摯に考えるためにも、もう一度10年後に自分はどうありたいのかを考える時が来ています。こうした勉強会を7月以降展開すべく詰めているところです。考える切っ掛けづくりのために是非参加してみて下さい。
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