2012年03月13日 10時21分更新
やや古い話になってしまいましたが、2月14日、日本銀行は粋なバレンタインのプレゼントをマーケットに届けてくれました。
金融政策決定会合において、市場が全くノーマークであった10兆円もの金融緩和を行ったうえ、
中長期的な物価安定の目途(専門家によっては「インフレターゲット」という人も)まで示したからです。
今回の金融緩和がサプライズの出来事であったのは、日本銀行が今までになかったタイミング、かつ金額であったことがあげられます。
これまでの日本銀行の金融緩和導入時期を簡易に言えば、経済指標等から景気の悪化(鈍化)傾向が見えた時点というのが通説でした。
しかしながら2月の金融政策決定会合時点では、経済指標等に景気の悪化を示すシグナルがほとんど点滅していなかったのです。
むしろ、やや明るめのシグナルが灯っていたと言っても過言ではありません。
追加緩和の金額も、従来であれば5兆円程度と小出しに緩和を行ってきたにもかかわらず、今回に限っては10兆円と従来の倍の金額の追加緩和を行ったうえ、その全額を長期国債の購入に回すと宣言したのです。
表にあるように、2010年10月に日本銀行が導入した「包括緩和」では、長期国債以外に、社債、ETF(指数連動型上場投資信託)、不動産投資信託(Jリート)などに多岐に渡っていた点も大きな違いと言えるでしょう。
追加緩和発表後、株式は買われた反面、円は売られたのですが、債券は買われている(金利は低下)という奇妙な動きとなっているのです。 予断ですが、株が買われ、円が売られる局面では、これまでは債券も売られる(金利は上昇)というのが一般的な動きなのです。 長期国債の全額購入が効いている証と言えるでしょう。
中長期的な物価安定の目途は、消費者物価指数の前年比上昇率で2%以下のプラスの領域にあると判断しており、当面は1%を目途とするとしています。
さらに、当面、消費者物価指数の前年比上昇率1%を目指して、それが見通せるようになるまで、実質的なゼロ金利政策を金融資産の買入れ等の措置により、協力に金融緩和を推進していくとしています。
つまり、消費者物価指数が対前年比1%の上昇に達するまでは、二の矢、三の矢を放つと言い放ったというわけです。
日本銀行は金融緩和の継続を高らかに宣言したものですから、マーケットは株価上昇、円安、金利は低位安定という歓迎を示したわけです。 今後は、日本銀行が明言した強力な金融緩和の実行が本当に継続するか否かが問われると思われます。
日本銀行が表明した通りの政策実行を継続すれば、株高、円安、金利の低位安定は継続、日本銀行が腰砕けとなってしまえば、株安、円高、金利低下というバレンタインデイ前の動きになると思われます。
日本銀行の金融政策決定会合は原則、月1回行われています。
これまで以上に同会合が注目されるはずです。