2013年08月27日 15時26分更新
逓増定期保険の名義変更プラン(MHP)について前回に引き続きまして詳しく解説をいたします。
具体的にはこんな契約内容になります。
低解約返戻金特則付逓増定期保険 保険金額1億円・年払保険料10,390,300円
1年目
累計保険料10,390,300円 解約返戻金0円 解約返戻率0%
2年目
累計保険料20,780,600円 解約返戻金840,000円 解約返戻利率4.0%
3年目
累計保険料31,170,900円 解約返戻金2,710,000円 解約返戻率8.7%
4年目
累計保険料41,561,200円 解約返戻金7,500,000円 解約返戻率18.1%
5年目
累計保険料51.951.500円 解約返戻金49,290,000円 解約返戻率94.9%
この契約を法人にて契約し、4年間は保険料を支払います。そして5年目の保険料を支払う前に個人へ名義変更を行い、5年目は個人で保険料を負担します。すると個人負担は1年分の保険料10,390,300円と名義変更時の買取資金である7,500,000円の合計17,890,300円の負担を行います。そして5年目保険料を支払った後に解約すると49,290,000円の返戻金を受取る事が出来ます。
実質的には49,290,000円-17,890,300円=31,399,700円増えた事になります。ただこの増加分に対しては一時所得課税が発生しますが、特別控除50万円を差引いた後に1/2を掛ける事が出来ますので、15,449,850円に対して税率を掛けた分を納税する事になります。
このMHPにおいて、
1) 法人で支払った保険料についてはルールに従って正しく経理処理を行った。
2) 法人から個人へ名義変更を行う際に、取締役会(理事会)決議を取った上で、適切な評価を行った上で資金を個人から法人へ移動させた。
3) 個人で解約返戻金を受取った際には受取った年度に確定申告を行って納税をした。
というすべて正しい手続きを行ったとします。これら3つの手続きはすべて正しいのですが、そもそも「なぜ名義変更を行ったのか?」という理由が非常に重要になります。この理由が「脱税か租税回避か?」を決定付ける要因になります。
ここで重要なのは、MHPは「節税」ではないという事です。節税とは税法が想定をしている範囲内で行う行為であり、MHPは「法人契約を個人に名義変更する」という税法が想定していない行為を行う事で課税要件を除外する「租税回避行為」なのです。
ましてや「個人解約時に支払調書が出ないので申告しなくてよい」というのは「脱税行為」であり、納税者は重加算税や延滞税が加算されるだけでなく、刑法により処罰の対処になる可能性があります。もちろん説明をした保険営業パーソンも「脱税幇助」として刑事罰を受ける可能性がありますので論外です。
ではなぜこの様なMHPを、経営者はリスクを背負ってまで行う必要があるのか?保険営業パーソンとしてMHPを提案する必然性がどこにあるのか?MHPの本質を次回に解説を行いたいと思います。