2013年07月22日 21時02分更新
そもそも名義変更プラン(以下、MHP)とは何か?という事から解説を行います。
生命保険契約の契約者を変更する形態として考えられるのは、
「個人→個人」
「個人→法人」
「法人→個人」
「法人→法人」
という4つのパターンです。
最近、特に注目をされているMHPは「法人→個人」の形態であります。
他の形態についても注目すべき点は数多くありますが、今回は割愛をさせて頂きます。
法人契約の生命保険を個人へ名義変更をするメリットは以下の通りです。
■ 法人で支払う保険料を損金計上する事が出来る
→法人で支払う保険料のうち、保険種類や契約形態・保険期間によって損金計上のルールは詳細に定められています。これに則った形で契約をすれば支払保険料は損金計上する事が出来ます。個人で契約した場合には生命保険料控除の枠内でしか所得から控除が出来ません。
■ 名義変更後、個人が保険料を負担する場合には、契約した当時の保険料のまま契約が継続するために保険料が上がらない
→個人で保障が必要な場合、その時点で新契約を締結するとその時点の年齢で保険料は計算されますが、以前に法人で契約していたものであれば、保険料は当時の年齢のまま個人で掛ける事が出来ます。
■ 法人で契約した後、被保険者が罹患し、新たに保険契約が出来ない場合などは、名義変更時は診査を行わないので個人へ保障を移転する事が出来る
→個人で保障が必要になっても、病気を発症した後であれば保険加入が出来ないケースがあり得ます。この場合、個人に保障が必要であれば法人契約の契約者を変更すれば個人で保障を確保する事が出来ます。
■ 名義変更時における保険契約の評価は、解約返戻金相当額で行うので、資産計上されている契約については名義変更に伴う損失が計上出来る。
→そもそも名義変更時における保険契約の評価を、解約返戻金相当額で行うのが一般的なので、その場合には資産計上額より解約返戻金が少ない場合においては、名義変更に伴う雑損失が計上出来ます。ただし名義変更時の評価を資産計上額(簿価額)で行う考え方もあります。※詳細は割愛します。
■ 法人で保険金を受取った場合、益金計上をするケースでも個人で受取った場合には非課税となるケースがある。
【所得税施行令30条1項(非課税とされる保険金、損害賠償金等)】
損害保険契約(省略)に基づく保険金、生命保険契約(省略)又は旧簡易生命保険契約(省略)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)
【所得税基本通達9-21】
疾病により重度障害の状態になったことなどにより、生命保険契約又は損害保険契約に基づき支払を受けるいわゆる高度障害保険金、高度障害給付金、入院費給付金等(一時金として受け取るもののほか、年金として受け取るものを含む。)は、令第30条第1号に掲げる「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとする。
→ただしこの場合、法人で支払った保険料相当額が給与として課税対象とみなされるケースもありますので十分注意が必要です。
■ 解約返戻金が低い時に低評価で法人から個人へ名義変更し、個人で保険契約を継続すれば保障を確保する事が出来る。
→終身保険や終身医療保険などを短期払にて法人で契約し、保険料払込が満了した時点で個人へ名義変更すれば、個人は低負担で一生涯の保障を確保する事が可能になります。
■ 解約返戻金が低い時に低評価で法人から個人へ名義変更し、個人で保険料を支払って高額な解約返戻金を受取る事で資産移転が出来る。
→これがいわゆるMHPの主目的です。逓増定期保険などで一定期間解約返戻金が抑制されているタイプを活用し、解約返戻金が少ない時点で法人から個人へ名義変更し、その後個人で保険料支払を行い、解約返戻率がピークに達した時点で解約すれば、個人は多額な解約返戻金を受取る事が出来ます。
※ 個人受取時の一時所得課税については平成23年の税制改正でルール化されました。
この最後のケースである「逓増定期保険の名義変更(契約者変更)プラン」について次回から詳細に検討して参ります。
逓増定期保険の名義変更プランを正しく学びたい方は
利益繰延でなく課税されないヒミツの生命保険活用法~最終章~
をチェックしてみて下さい。
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