2013年10月01日 15時36分更新
逓増定期保険の名義変更プラン(MHP)についてその1とその2に引き続きまして詳しく解説をいたします。
逓増定期保険の名義変更プラン(以下、MHP)は 「租税回避行為」に該当します。
租税回避行為とは、税法が想定している範囲を超えたスキームでなおかつ仮装・隠蔽を行わない処理を言います。
税法が想定している範囲とは、例えば小規模企業共済や中小企業セーフティー共済を活用したプランで、両者とも「合法的な節税効果」を得る事が可能なプランと言えます。
それに対して仮装・隠蔽とは、例えば解約返戻金を受取った際、支払調書が出ない事を利用し申告をしないケースで、これは明らかに 「脱税行為」として刑事罰の対象となる行為です。
MHPは、法人での保険料支払→名義変更時の処理→個人解約時(保険金受取時)の申告、というすべての行為を表面化させるので、仮装・隠蔽ではありません。
しかしながら、法人から個人へ名義変更を行う事などは、税法上では想定をしていない行為であるために、 「なぜ名義変更を行ったのですか?」という理由を問われる事になります。
この理由が、「法人での益金課税を逃れるため」だとか「法人税の節税のため」と認定されると、 法人税法132条の同族会社の行為計算否認に該当して損金否認される事になります。
では、どの様な理由であれば良いのでしょうか?
残念ながらすべての事業において共通する様な明快な答えはありません。
それぞれの事業において、法人で保険を継続するのではなく、個人へ名義変更を行った方が良い理由は必ずあると思います。お客様と経営上の問題や個人のライフプランについてしっかりと打ち合わせを行って下さい。
しかしながら、名義を変える理由は 「法人での益金課税を逃れたい」「個人へ低負担で資金を移したい」というのが本音だと思います。この本音だけをピックアップするとMHPは、「租税回避行為」ではなくて「脱税行為」に該当すると言っても過言ではありません。
この様なMHPをなぜ経営者は導入するのでしょうか?1つは保険営業パーソンがこのリスクをしっかりと説明せず、リスクをリスクとして認識せずに導入しているケースが多いのではないでしょうか?私はこの点を一番危惧しています。
個人で解約しても支払調書が出ないとか、名義変更損を計上すれば実質全額損金計上出来るなどという点だけをクローズアップして訴求している保険営業パーソンは非常に多いと思います。
このケースにおいて、実際に税務調査が行われた際に、名義変更の理由を尋ねられた経営者は、調査官に対して適切な説明が出来るでしょうか?
その事を想定してMHPを導入している経営者は何名いるでしょうか?保険営業パーソンに至っては、税務調査のリスクを想定していないのではないでしょうか?
中には契約者貸付と払済を駆使して、非常に分かりにくくして個人で現金化しているケースもあります。これはあくまでも分かりにくくしているだけで、本質は何も変わりません。
むしろ万が一指摘をされた場合、仮装・隠蔽だとして重加算税の適用されるリスクが非常に大きいと私は考えています。
もし指摘をされて、修正申告を行った場合、延滞税・過少申告加算税又は重加算税は誰が負担をするのでしょうか?適切な説明を行わなかった保険営業パーソンに責任の一旦はあるとされて損害賠償されたらどうしますか?
そのために私は、このMHPは提案する保険営業パーソンも経営者も相当な 「覚悟」を持って導入すべきだと考えています。
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