2017年08月31日 17時37分更新
損害保険会社で自動車事故のことをクレームと呼んでいることをふと思い出しました。
現役時代は当たり前にクレームという言葉を使っていましたが、久しぶりに聞くと違和感を持ちました。
自動車保険は保険会社とお客様の契約です。お客様は保険料を支払い、万が一の場合、保険会社は事故対応をし、保険金を支払うという契約内容になります。従って、お客様の事故は契約上の当然の権利になります。それを保険会社社内ではクレームと呼ぶこと自体、何かおかしいと思います。保険会社社内で今も普通に使われているワードかどうかはわかりませんが、こうしたことから改善していかないと損害保険会社もお客様から見捨てられる日も近いように思います。
折角ですので、改めて、お客様のクレームについて考えてみましょう。
寄せられたお客様の声を、保険会社内では「意見」「要望」「お叱り」「クレーム」等々に分類して管理しています。ある損害保険会社では支社単位で毎週社員全員が集まって一週間のお客様の声を集め、一つ一つの声を検討し、中からクレームとするものがあれば、本部コンプラ委員会に書面をもって報告するという体制をとっている所もあります。これでは本部コンプラ委員会に本当のお客様の声は届きませんよね。意見・要望、お叱り等の中にこそ、保険会社が「気づき」を与えられるエッセンスがあると思います。
ある保険ショップではお客様の声を集めるために、契約いただいた全てのお客様にダイレクトメールを送っているところもあります。店舗でご契約いただいたお客様に保険代理店の社長名で「お礼状」が送られ、そこにお客様の声を集めるアンケートが同封されています。
「契約時における対応に問題がなかったか」、「ご契約内容はお客様の目的に合ったものになっているか」等々をお聞きし、「何かありましたら直接この部署に連絡下さい」との明記することで、直接、保険代理店本社でお客様の声を聴こうとしています。回収率は極めて低いですが、社長からの挨拶状は必須ですので、コストをかけて今もやっていると思います。
残念ながら、保険会社は保険代理店を通じてお客様と接していて、直接、保険会社社員がお客様と会うことはありません。会ったこともないのに声を聴けるのでしょうか。
お客様を甘く見てはいけません。お客様が離れる時はアッという間です。
金融庁は「お客様から託される存在」になるよう指導しています。お客様から信頼を勝ち得るにはコミュニケーションを重ね、日々の信頼を積み重ねることが必要だと思います。そのためにお客様の声を常に集める体制が必要です。やり方は無限にあります。
お客様を大切に考えれば、自然に発想は湧いてくると思います。
こうした体制を構築できなければお客様から見捨てられる、そういう時代を迎えていることに気づかないといけませんね。
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