2016年06月16日 18時18分更新
財務省の諮問機関である財政制度等審議会の表示等部会が、たばこの警告文の強化案をまとめたという報道がありました。「PL」がお好きな方には堪らない報道だったと思います。
今回の強化案では、国内で販売するたばこの包装の警告文が現在の8種類から12種類程度に増え、文字数も減らして文字の大きさも拡大し、健康リスクを広く知ってもらうようにしようというものです。
たばこの包装は現在、8種類の定型の警告文を30%以上の面積を使って表示するように義務付けられており、現在は「喫煙は肺がんの原因の一つとなります」や「喫煙は心筋梗塞の危険性を高めます」といった定型文を包装の表と裏の両面に表示されています。
現在の警告文は策定から10年が経過しており、医学的な変化などを警告文に反映させるとともに、文字数が多くて読みづらいといった指摘にも対応しようというものです。
海外ではオーストラリアなどで、たばこの包装に画像を使った警告表示を採用していますが、財制審は画像を使った警告は先行する海外の導入効果などを見極める必要があるとみて、今回は導入を見送る見通し。財制審は秋以降、たばこ事業等分科会で内容を精査し、2016年度内にも規制の最終案をまとめる見通しで、財務省は議論を踏まえて省令を改正する計画とのこと。
久しぶりに「PL」絡みの記事が出て面白いですね。
「PL」は「製造物責任」になります。製造したモノ以外でも「警告文の不足」でPL責任を負わせられます。実際にはありませんが、PLの話題の際に良く使われるネタとして、こんなものがあることをご存知ですか。
『米国で犬と散歩していたら雨が降って来て急いで帰宅したが犬が雨に濡れて寒そうにしていたので、飼い主は電子レンジに入れて犬を温めようとしたが犬が死んでしまった。飼い主は電子レンジの使用マニュアルに犬を入れてはならないと書いてなかったとして電子レンジメーカーを訴え、損害賠償を請求した』というもの。
実際にはこんな事実はありませんが「警告文の瑕疵」を表すのに面白いので、良く使われているネタです。
『警告文に書いてなかった』という瑕疵で、PL責任を負います。従って、海外のたばこには「たばこを吸うとがんになる」とか「たばこを吸った人の肺の写真を掲載」したりして、購入者にリスクを訴えています。こうした警告文を読んだうえで、たばこを買って吸いすぎて肺がん等になっても、たばこメーカーはPL責任を負いません。そのための警告文なのです。
昔、電動のこぎりメーカーが子どもでも持てる「軽さ」をアピールするために、パンフレットに「子どもが電動のこぎり」を持っている写真を掲載していましたが、これだと子どもでも使えるという表現になって極めてマズイということで直ちにパンフレットの写真を変えたこともありました。
「PL」の警告文の瑕疵は実に面白く、Dr.ウエノもこれだけで3時間位喋れるネタを持っていますが、久しぶりの「たばこの警告文」で昨日は少し燃えました。
前の記事
次の記事