2016年05月06日 17時37分更新
ここ数年間、保険業界の話題を総なめにした改正保険業法がついに今月施行されます。
幾つかの保険代理店とお会いした際に「改正保険業法体制整備で忙しくて」とおっしゃる方が、まだいらっしゃいますが、「何を今更?」、「ここ数年間、一体何をやっていたの?」、「今更やっていて何が間に合うのか?」と不思議な感覚に襲われています。
セミナーでも何度も話しましたが、現在の保険業法の大元が出来たのは1939年。その後、1996年に金融ビックバーン絡みで全面改定があり、今年2016年に20年ぶりに改正されるわけです。
ポイントは1939年の大元の保険業法上での「保険募集」の概念はその後一度も変わってはいないということです。
ここ十数年、保険業法上の保険募集とは乖離した販売手法が出現しました。コールセンターによる保険募集、インターネットを活用した保険募集、来店型保険ショップを通じての保険募集等々。これらは1939年には想像もしえなかった募集体系だと思います。こうした新しい募集体系では、保険ショップは中立公正を唱えながら結局手数料の一番高い商品を販売していて表現が悪いですが顧客を騙していると批判され、コールセンターによる電話募集では言葉が悪くて恐縮ですがオレオレ詐欺的土壌も払拭されないと批判され、インターネットによる募集も本当に顧客は保険商品を理解して購入しているのか疑問だと批判されてきました。そして、それぞれの募集体系が保険募集の概念から逸脱した結果だと考えられ、今回の保険業法改正に至った訳です。
新しい保険募集体系をもう一度保険業法上で言う「保険募集」に変えることが今回の「意向把握義務」、「情報提供義務」、「体制整備義務」なのです。
もう一度、きちんと顧客に正面向き合って、顧客が何を心配されているかを親身になって相談を受け、適切な保険提案を行い、何度も顧客の意向を確認しながら、比較できる保険商品をしっかり説明し顧客にとって最も適切な保険商品を販売する、しかも個々の募集人で相違があることなく保険代理店で統一した手法で販売するようにというのが改正保険業法なのです。
要するに「当たり前のことを当たり前に企業として出来るようにする」ことなのです。決して難しいことではないのです。とは言え、決して容易な事ではありませんが、要は「PDCA」サイクルをきちんと回せる体制が出来たがどうかが最大のポイントとなります。
『出来ていないことが分かれば、何故出来ていないかを考え、要因を見つけ出し、如何にしたら修正出来るかを考えて検証してみて再度修正し続けて行くこと』が肝要です。
改正保険業法施行は5月29日!
これで漸く保険会社並みに保険代理店が保険業法の管轄下に入ります。
保険代理店業界が法の整備を受けることで、大手企業の保険代理店事業参入が相次ぎ「大戦国時代に突入」となります。
生き残るための工夫と知恵が益々求められる時が到来しましたね。
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