2011年12月20日 15時35分更新
両眼を失明すると高度障害状態となり、死亡保険金相当額の高度障害保険金を支払うことになるから、生命保険会社は眼疾患に敏感。普通保険約款には、7つの高度障害状態の1つとして「両眼の視力を全く永久に失ったもの」と条項の一番目に定義されており、強度近視や眼疾患を罹患していると生命保険や医療保険への加入が困難なことがあると前号で紹介しました。
失明の原因として第1位は緑内障であることをお伝えしました。それでは第2位は? 実は糖尿病性網膜症なのです。これは糖尿病が原因で網膜剥離や硝子体出血などを起こす疾患です。視力の低下から失明にいたります。糖尿病は本当に怖い病気ですね。もちろん糖尿病と診断されていれば、生命保険に無条件での加入は困難です。
普通保険約款の失明状態つまり「両眼の視力を全く永久に失ったもの」は、「視力が0.02以下になって回復の見込みのない場合」と定義されています。これは矯正視力について測定します。ふつうの近視は、強度近視(-6D、一般に裸眼視力0.04未満)でもなければ眼の障害でもなく保険加入時の告知対象にはなりません。しかし、この近視が保険会社の支払い場面で、10数年前から問題となってきました。というのも屈折矯正手術(近視矯正手術)のレーシックが開発されて手術給付金の請求が始まったからです。レーシックは角膜にフラップを作って角膜切開を行います。当初は、角膜潰瘍という診断名で請求されていたことが多かったです。このレーシック手術件数が急増するようになったため、生命保険会社は医療保険普通保険約款の対象となる手術を変更し、感覚器・視器の手術の項に「視力矯正を目的とする手術を除く」と但し書を付して不支払とした経緯があります。レーシック手術の普及が保険会社にとって想定外であったわけですね。
生命保険契約の高度障害保険金や医療保険の手術給付金の観点から、眼の疾病や視力障害がとても重要視されていることがわかると思います。したがって強度近視や眼疾患を罹患していると生命保険や医療保険への加入が困難なことがあります。ただし、告知事項に該当しないふつうの近視は問題ないでしょう。なお、2009年に銀座眼科のレーシック手術を受けた67人が感染性角膜炎を発症した事件がありましたが、レーシック手術直後は合併症の危険があるため、新規の医療保険の申込では眼球の部位不担保という特別条件が付く可能性がありますのでご注意ください。