2019年05月16日 18時22分更新
個人情報保護委員会が、2020年に向けて検討している「個人情報保護法改正の原案」を正式に発表しました。
柱に据えたのが、望まない自分の個人情報を企業に「使わせない権利」の導入です。「個人データの乱用」というデジタル時代の新たなリスクを受け、欧米中心にプライバシーを保障する制度拡充の動きが相次いでいますが、「使わせない権利」導入でデータ活用事業は大きな転換点を迎え、企業も変革を迫られると想定されます。
現行法は17年に全面施行されましたが、「不正取得や本来の目的以外で使われた時のみ、個人は企業にデータ利用の停止を請求できる」という限定的な規定だったため、消費者の不満は強く、これに対処する形で今回の改正案に含められました。
「使わせない権利」は個人の意思を尊重するもので、「企業がどのようにデータを取得したかにかかわらず、望まない場合は利用停止を要請できる」というものになります。更に企業は利用停止の要請があれば速やかに対応する義務を負い、情報開示にも応じなければなりません。例えば、氏名や住所などに「職業」、「賃貸住宅に居住」といった属性データを紐付け、それぞれの趣味や嗜好にあわせたネット広告を配信する機能を有するSNSについては、今後、こうした広告をやめさせられることが出来るとされています。
改正案では、利用停止に応じない企業には指導や命令に乗り出すことが出来、それにも従わない場合は罰金を科すとしているそうです。データの利用目的を「営業活動のため」などと大まかにしか説明していなかった企業は、営業活動の全般に対して個人から利用停止の要請を受ける可能性もあるわけです。
保険代理店でも多くのお客様の個人情報を有しています。マネーセミナーや各種イベント等の案内をしていますが、もう一度個人情報の精度を上げる必要が求められています。お客様から、より具体的に「こんな案内はしないで欲しい」という意見を集約する必要が生じて来ます。
この個人情報の話は保険代理店の募集人が直接お客様に伝える必要がありますが、100%出来ているかと言われると出来ていないと思います。
そこで、ある保険代理店は、保険成約いただいた全てのお客様にアンケートを送り、個人情報の取扱いについての説明がされたかの確認をしています。個人情報保護法改正に合わせ、今後は、保険相談に来られて成約にならなかったお客様にもアンケートを開始するとのことです。更に、当該代理店は全ての契約者に「誕生日おめでとうハガキ」を出状しています。年間10万件を超える顧客全ての通信代を考えると大変ですが、ここまでして常に直接お客様に伝えることを伝えられる体制があれば個人情報取扱いについては大丈夫だと思います。
「使わせない権利」に対しての対応を保険代理店も考えていかないといけませんね。
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