2019年05月16日 18時25分更新
個人情報の提供に対価を支払う「情報銀行」が相次ぎ登場することが報じられました。
スカパーJSATは7月から視聴履歴などの提供に同意した顧客の「視聴料を割り引く」そうです。みずほ銀行などが出資する個人融資サービスのJスコア(東京・港)は電子マネーや現金などで還元するそうです。
IT大手の「GAFA」は収集した個人情報を利用者が想定していない分野で活用するなど、乱用への不満が高まっていますが、情報銀行は「対価というメリット」を明確にした世界でも新しい試みとなると報じていました。「情報銀行」は日本IT団体連盟が総務省と共同で指針を作成、個人情報保護のルールを定めており、認定企業は政府のお墨付きを得られます。
スカパーが展開するものは、「視聴者の視聴履歴」や「好きなスポーツチームなどの嗜好」などで、外部企業に提供する対価として視聴料を1件あたり数百円割り引くそうです。
例えばゴルフの視聴履歴が多い視聴者がいれば、スカパーと提携するゴルフ用品店は興味がある人だけに絞った広告を打て、効率的な販促が可能になります。
スカパーはまず契約者2500人を対象に始め、2020年度中に325万件の全契約者を対象に導入を目指すそうです。
個人向け融資サービスのJスコアは年収や学歴などを基にAIがスコアを算出して顧客を6段階に分類、顧客がスコアの外部提供に同意すれば現金や電子マネーの提供や金利引き下げなどで優遇するそうです。
個人情報を提供する代わりに対価が得られるサービスとしてはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「Tポイント」など各種ポイントサービスがあります。情報銀行は利用者が、外部提供先への情報提供の可否を選べ、自らの情報をコントロールできる点が違いとなります。
更に、三井住友信託銀行やイオンが出資するフェリカポケットマーケティング、データ管理サービスのデータサインなどが6月中にも「情報銀行」の認定を取得する見込みで、富士通と組んで「情報銀行」のシステムを開発中の大日本印刷も参入を目指して認定取得に動いているとも報じられています。
フェイスブックの個人情報流出問題では、自分の個人情報がどう流通しているか利用者本人が把握できない現状が明らかになり、国際的な規制の導入議論が浮上している中、本人の承諾を得た上で個人情報の対価に相当するサービスを提供する「情報銀行」の運営がいよいよスタートすることで、新しいビジネスも出てくると思いますね。
各地の保険代理店も地元顧客の詳細な個人情報を有しています。
このデータを生かすことを考えて、スタートを切ってみては如何でしょうか。
前の記事