2016年10月13日 19時01分更新
日本経済新聞の電子版にこのような記事が掲載されました。
『急速に広がる来店型「保険ショップ」の収益を支えるのは販売手数料だ。だが実態はブラックボックスといえ、契約者にうかがい知れない世界が広がっている。業界関係者の証言や内部資料をもとに、その実情に迫ってみた。
手数料の類型はいくつかあり、販売側の代理店が複数のプランから選ぶ場合が多い。たとえば「5年L字(5L)型」と呼ばれる、保険会社から5年間にわたって販売手数料を得られるタイプ。後発組ながら急速に新契約を積み重ねるX社の医療保険の場合、初年度の手数料率は契約者(40歳)が負担する年間保険料に対して88.5%にもなる。2~5年目は10.3%なので、5年間の累計では129%と高額だ。
(中略)
2年目以降の手数料がない代わりに、初年度に手厚く一括で受け取れる「I字型」もある。しかしこれだと手数料率は97.7%にとどまり、最も取り分が少なくなる。
金融庁が問題視するのが、こうした正規の手数料率に基づく取引とは別に乱発される「キャンペーン」に名を借りた上乗せ手数料の存在だ。本来は新商品の売り込みなど期間限定の性格が強かったが、「販売競争が激しくなるうちに手数料の上乗せが常態化してきた」(関係者)という。かつてほどの派手さこそないというが、優秀な販売員に対する海外旅行などの供応も毎年繰り返されている。様々な保険会社の商品を扱い、店頭で説明を受けながら比較ができるのが保険ショップの利点だが、手数料を巡る内実が覆い隠されたままでは、利用客は「中立・公正」という看板に疑いの目を向けざるを得ないかもしれない。
今年5月末に施行された改正保険業法では、経営規模が比較的大きな「特定保険募集人」について、店頭で取り扱っている保険会社や月ごとの受取手数料などを盛り込んだ事業報告書の提出が義務づけられた。15社以上の保険会社と取引がある場合などが対象だが、取引社数を14社以下に絞り込むなど規制逃れとみられる動きもあるという。法改正を機に健全化への取り組みは進みつつあるが、顧客本位の定着は道半ばといえる。』
こうしたキャンペーン、インセンティブ、海外コンベンション等を指摘する背景には、金融庁の「保険料を下げさせる」という意向があると考えています。無駄なコストをそぎ落とせば保険会社は保険料を下げることが出来ると考えていると思います。
同じ日本経済新聞の紙面でも「手数料にメス」というテーマで特集が掲載されましたが、この中で注目すべきことが書かれていました。
それは、『海外ではオーストラリア政府が生保販売に伴い販売業者が受け取る手数料を下げる方針を掲げ、米国も販売会社に「顧客の利益のためだけに働く」という大原則を来春にも義務付ける』との文章です。
金融庁の最も重要なキーワード「フィデューシャリー・デューティー」が保険代理店業界にも降臨する日は近いと思います。
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