2011年11月02日 07時21分更新
私が生命保険業界へ転職した平成元年は未だバブル期で高額な生命保険がよく売れていました。診査医として毎日走り回って、年間診査件数1000件を超える状態です。
重大月いわゆるキャンペーン月の次月は、初回の引受査定で特別条件がついたお客さまや心電図検査・血液検査もれのための不備解決の診査で動くことになります。
朝から続けざまに血液検査だけを5件することなどもあり、自分が吸血鬼になった気分でした。ちなみに高齢者の血管に注射針を刺すのは得意です。
大手生命保険会社の支社医長時代に次のようなことがありました。
小学校入学前の男子をもったある若い父親の一言。「うちの子供は小さい頃お腹を切る大病をしたので、生命保険に入れないのかな」とつぶやいていた。いつも熱心に訪問していた営業職員さんも、この子の既往歴のことを聞くと蜘蛛の子を散らすように寄り付かなくなってしまう。この父親に学資保険を勧めようと思っていたのかもしれません。
ある日、一人の生保営業職員さんがこの家庭を訪問し、くだんの父親から子供の病気の話を聞きました。その父親が言う。
「昔の手術があるから、生命保険に入れないのかな。病名は、ヒルシュスプルング病というらしいのだがね。」
その営業職員さんは、
「私では分かりませんので、会社の先生に聞いて見ますね。」
と言って帰っていった。
数日後、その営業職員さんが再びやってきて、その子供の生命保険加入が大丈夫そうなことを伝えてくれました。ヒルシュスプルング病(先天性巨大結腸症)の手術が後遺症や合併症なく無事に終わっていて一定の経過年数があれば、生命保険に加入できることを教えてくれた。その父親は大喜び。
後日、その父親は子供を生命保険に加入させたのは言うまでもなく、小さな建設会社を経営していた父親自身も法人契約で保険金1億円の生命保険に加入してくれました。そして営業職員さんは生命保険会社の診査医を連れて社長の自宅を訪問したということです。
こんな対応をしてくれる生命保険会社にお勤めの営業職員さんとそのお客さんは、幸せですね。もちろん生命保険会社には、あなたのお役に立ちたいと思っている新契約部門の社医(診査医、査定医)や引受査定者も多いですよ。
参考:生命保険のための医学知識