2016年07月07日 19時02分更新
これまで、保険業界の一番の脅威は地銀の本格参入と申して来ましたが、現実味を帯びて来ましたね。
6月30日の報道で、静岡銀行と保険ショップ最大手の「ほけんの窓口グループ」が業務提携とのニュースが飛び込んで来ました。
静岡銀が支店内に保険の相談ができるブースを設け、ほけんの窓口が行員を研修したり、販売システムを提供したりすることで、銀行サイドでは日銀のマイナス金利政策で融資の利ざやが縮小する中、保険商品の販売で手数料収入の底上げを目指そうというもの。
ほけんの窓口から研修を受けた静岡銀行の行員が保険の相談や加入、見直しに関する手続きをします。販売手数料は静岡銀行が受け取り、行員への研修や販売システムの利用に伴う費用などを保険の窓口に支払うという業務提携内容になります。
年内に静岡県内の2店舗でスタートさせ、対象店を順次増やす方針で、何と静岡銀行は、ほけんの窓口への資本参加も検討しているとも報道されました。
銀行の顧客は一定の金融資産を持つ高齢者が多く、一方の保険ショップは、主に医療保険やがん保険への関心が高い20~30代の来店が約半数を占めるため、提携で幅広い金融サービスを提案できるようにして、若年層の取り込みをはかりたいというのが主旨。
保険ショップは2000年代後半に商業施設や商店街への出店で店舗数を急速に増やしてきたが、店舗数が2千店を超え、最近では新規出店の余地が乏しくなっていることもあり、ほけんの窓口サイドとしても地域で有力な地銀と組み、新たな出店地を確保したいという主旨があります。
また、山口フィナンシャルグループは住友生命と共同で「株式会社ワイエムライフプランニング」という会社を設立します。本社は山口県下関市で、事業内容はライフプランニングら基づく保険代理店業務、金融商品仲介業、役員助言・代理業及び銀行代理業となります。山口フィナンシャルグループは山口県の山口銀行、広島県のもみじ銀行、福岡県の北九州銀行を傘下に持ち、この3県で恐らく保険ショップを展開して行きます。事業内容を考えると一般社団法人結心会で何度も言っている「フィナンシャル・ショップ」という位置づけになると思います。何と言っても「銀行代理業」が出来るのが最大の強みですね。銀行行員が保険ショップ店頭に立って、お客様のあらゆるファイナンシャル関連のご相談をワンストップで受けることが出来れば、元々地場では信頼性が高い銀行ですので、間違いなく地場の保険代理店は厳しい立ち位置に追い込まれると思いますね。
静岡銀行とほけんの窓口の様に提携して生き残るか、M&Aしてもらうかという選択肢でしょうかね。
日銀のマイナス金利政策で主力の貸出業務は利ざやが縮小し、同業務への依存度が高い地銀の収益は厳しさが増しており、更に改正保険業法により、これまで保険会社監督下にあった保険代理店が保険業法監督下になることで、漸く法の整備下に置かれたことで、ドコモといった大手企業が保険代理店業界に参入して来ています。
地銀は元々顧客を抱えているので、全国の地銀が一斉に動き出したら、大きく保険代理店の地図は変わると考えますね。