2015年05月07日 17時51分更新
インターネットを通じて生命保険を販売するネット生保の代表格、ライフネット生命保険がKDDI(au)と資本・業務提携したというニュースが飛び込んできました。
ライフネット社をKDDIとの提携に突き動かしたのは、足元の新規契約件数の落ち込みです。
ライフネット社の2014年4~12月新規成約件数はは前年同期比43%減の約2万1000件。「ライフネットの手続きはパソコンが基本でスマホ対応の遅れが響いた」と出口会長は会見されていましたが、元々「保険は売り手は知っているが買い手のお客様は全く知らない」という異常な商品なので、お客様に受け入れられなかったのが要因だと考えます。
これによりKDDIはライフネットの株式の15.95%(議決権ベース)を握る筆頭株主になり、両社は今秋にも「auのスマホ用サイトなどを通じ、死亡保険や医療保険の販売を始める」とのこと。auの利用者がスマホで保険契約し、携帯料金と保険料を一緒に支払うサービスも考えられるとしていますが、どうでしょうかね。
自転車保険や傷害保険といった「損害保険」商品は意向把握がし易いと考えますが、生命保険は個々によって大きく異なります。100人100態です。個々の考え方の違いの生じる「生命保険」商品を、しかも死亡保険を販売することには無理があると思いますね。
一方、楽天生命保険は親会社の楽天の会員を対象に無料のがん保険を提供する“奇策”で顧客の裾野を拡大しています。昨年11月から、ネット通販「楽天市場」などで購入額や頻度の高い会員に無料のがん保険の提供を始め、保険料は楽天が負担する仕組み。契約者数は半年もたたないのに10万人を超え、足元の伸びを支えているとのこと。
無料の期間が1年なのがミソで保険料がかかる2年目以降、どこまで契約者をつなぎ留めることができるかがカギだと論じられていました。
ライフネットと並ぶネット生保の草分けであるアクサダイレクトは地銀との関係を強化し、北国銀行、福岡銀行、熊本銀行など5行で同社の終身保険や医療保険を販売しています。
ここに来てネット系生保社の戦略が大きく岐路を迎えていることがこうした展開を見ていると分かりますよね。
ただ販路を提供する提携先に手数料を支払えば利益率は悪化し、ネット生保の持ち味である割安な保険料を維持するのが難しくなる可能性もあり、ここがネット系生保のアキレス腱でもあります。
対面販売主体の大手に対抗する形で登場して7年。ネット生保は曲がり角を迎えています。
でも同じことが保険ショップ業界でも起きていると思います。「戦略」の組み方がアッと言う間に大きな差となると思います。でも、練りに練った戦略よりも、思いついた戦術をまずはやってみることの方が良いかと思います。
如何でしょうか。
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