2018年07月13日 18時16分更新
金融庁は、金融モニタリング有識者会議が公表した「検査・監督改革の方向と課題」(2017年3月)を踏まえ、検査・監督全般に共通する基本的な考え方と進め方を整理した「金融システムの安定を目標とする検査・監督の考え方と進め方」(健全性政策基本方針)(案)を2018年6月に公表しました。
本文書は、金融システムの安定を目標とする検査・監督の今後目指すべき方向性について、我が国の過去の金融危機の教訓や金融機関が抱える最近の課題、更には諸外国における経験を踏まえつつ、金融機関等の関係者と双方向の意見交換を行うための材料として、金融庁としての基本的な考え方と進め方を示したものになります。
ご存知のように金融庁が発足して以来、長きにわたって柱とされた「検査マニュアル」は、平成30年度終了後を目処に廃止される予定です。
検査マニュアルには、各種のリスクの管理態勢の整備等に関するチェックリストが示されており、金融機関においては、これを踏まえた実務が積み重ねられてきました。
「検査マニュアルの廃止」は、これまで定着した実務を否定するものではなく、「金融機関が現状の実務を出発点に、より良い実務に向けた創意工夫を進めやすくするためのものだ」と位置付けられています。事務年度が変わる7月から「検査マニュアル」がない状態での取り組みを構築していかなければなりません。
金融機関の健全性の評価の視点を従来は「後始末型」だったのに対して、これからの視点は「予防型」にするとのポイントが示されました。
しかも、創意工夫が当たり前のように求められています。創られたビジネスモデルによって健全性評価の視点は個々に変わります。提示されたビジネスモデルの特性を踏まえた評価の視点の相互関係に留意しつつ、全体としてビジネスモデルが成り立っているかを評価することが重要と位置付けられています。
最近の「変化のスピード」は過去経験したことのない速度での判断が求められていると思います。環境変化に応じた機動的な対応は、取締役会や経営陣だけでなく、フロント部門によって行われることが必要です。過去の成功体験等をベースとした経営陣等の「直観」を『リセット』とし、現場の声を常に聴き、過去にない取組を実行に移し、検証していくことが必要だと考えます。
変化が激しい今、マニュアルは役に立ちません。日々、ブラッシュアップしてマニュアルを再構築する時なのです。
新しいビジネスモデルを構築し、会社個々のブランド力をつけていく時代が到来しているのです。
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