2014年06月12日 16時05分更新
紀元前よりケシの未熟果から採取されたアヘン(opium)が鎮痛薬として用いられてきたのは周知の事実でしょう。19世紀初頭には、アヘンの主成分であるモルヒネが、アルカロイドとして初めて単離されました。
オピオイド(opioid)とは、アヘンが結合するオピオイド受容体に結合する物質の総称です。この物質には、麻薬性鎮痛薬やその関連合成鎮痛薬などのアルカロイド、およびモルヒネ様活性を有するペプチド類があります。歴史的にはオピオイド受容体はモルヒネ受容体といわれています。
オピオイドの作用点として受容体が存在することが初めて証明されたのは、20世紀後半です。薬物受容体の概念が導入された後、内因性モルヒネ様物質の探索が行われ、エンケファリン、エンドルフィン、ダイノルフィン、最近ではエンドモルフィンなどが単離・同定されています。さらに現在ではμ、δおよびκオピオイド受容体の遺伝子が単離精製(クローニング)され 、その構造や機能が分子レベルから明らかにされています。
がん以外の疼痛に対するオピオイドの使用については、近年さまざまな資料が発表されています。そのうち最新の資料をいくつかご紹介しましょう。