2019年01月10日 18時54分更新
中山間地が多く人口減少が進む長野県の地方銀行が支店戦略を練り直していることが新聞で報じられました。
その地方銀行は、「八十二銀行」。
支店人員を大きく減らした新型店舗を導入、「はちにの窓口」をオープンさせました。
出店場所は「スーパー」。
スーパーのイートインコーナーを間借りして、2台のATMと常駐行員を1~2人配置し、専用のタブレット端末を活用し、常駐行員は普通預金口座の開設や住所変更、資産運用の相談などに対応します。行員は現金に一切触れないスタイルで、ATMで対応できることは全てATMに任せる点が大きな特徴です。
また、午後0時から1時半までを休憩時間にして、1人でも営業できるようにしました。
支店の頃と比べ6人程度の人員が浮く計算になるため、浮いた人員を対面営業の強化に充てるそうです。今回の事例では、自前の支店が間借りになることによる物件費の軽減で年間コストが5割減ることになります。
長野銀行は法人営業に廃止しリテール営業に特化した「サテライト型店舗」を導入しました。支店は残っているためコスト削減効果は少ないですが、法人営業の行員は母店に集中させて情報やノウハウを共有し、高度な専門業務をこなせる行員を増やす狙いがあるそうです。
長野県の地銀の戦術、面白いですね。
特に「はちにの窓口」は写真も掲載されていましたが、ATM数台と同じスペースにカウンターが出来ていて、ここに行員が立っています。
この風景、どこかで似たようにものを見たことがあります。
それが、調剤薬局に出店している「みんなの健康ラウンジ」です。
「みんなの健康ラウンジ」は従来、商業施設に出店していた保険ショップの小型化を図るという企画です。
商業施設だと家賃が高く、眠らせる結果になる保証金も高く、スタッフは3~4人は必須で365日休みなく朝から晩まで決まった時間帯で営業をしないといけません。
そのためのコストと管理業務は大きな負担になります。しかも、今は商業施設の集客力が大幅に落ち、高いコストを払って出店するだけの価値がなくなっています。
それに対し、調剤薬局に出店する「みんなの健康ラウンジ」は、待合室の2坪程度だけを借りるので家賃は少なく、営業時間も自由、しかも土曜日は午前中のみ、日曜日は休みとなります。しかも、狭い待合室で薬の調剤が出来るまでの間を使ってお客様とお話しできるので多くのお客様と接することが出来ます。
一番お金を持っているシニアと会いたいという保険代理店の方が多いですが、間違いなくシニアと定期的に会える場所は「病院」か「調剤薬局」です。流石に病院に保険ショップ出店は難しいですが、調剤薬局だと可能です。
あいおいニッセイ同和損保社では「みんなの健康ラウンジ」取組が会社施策になっています。
このモデル、「損保代理店」に向いている感じです。
損保代理店は今後運営が益々厳しくなりますので、「みんなの健康ラウンジ」出店で切り口を開いて行きませんか。
時代は今、「小型でお客様と寄り添える店舗」に移行しているのです。
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