2014年06月12日 16時05分更新
米国カリフォルニア大学のNuclolsらがこの事項について詳しく検討しています。結果の一部を以下に示します。
オピオイドを投与される患者数とその処方回数は顕著に増加していますが、その理由は、がん以外の慢性疼痛をオピオイド系薬剤で治療することが、「通常は禁忌から標準的治療法」へと変化してきたからです。
一般にオピオイドの投与は、不正ドラッグよりも乱用に耐え得ると考えらえています。オピオイドの投与に関連する米国内の年間死亡者数は、1999年の4,000件から2006年には14,000件へと急増し、この数は今も増え続けています。
死亡に至った過剰服用事例の半数で、催眠鎮静剤(特にベンゾジアゼピン)も投与されていました。2種類のガイドライン評価基準 により、いくつかのオピオイド投与のガイドラインを見直してみると、13件のうち10件が「悪いから普通」の評価結果となりました。
ノルウェーのデータベース調査によると、これらの薬剤を投与された患者のうち17%が長期使用者でした。「長期」とは、少なくとも5年以上継続して使用している場合に相当します。またこの患者の34%では、1~5年の間に用量が倍増しました。
「問題のある」使用(すなわち、乱用)の予測指標は、使用開始時に60歳未満であり、1年ほど少量のオピオイド投与を受けた後、より強い薬効へと「増強」されていることです。
16歳以上のデンマーク人13,281名を対象に行われた調査では、がんのない状態での長期オピオイド使用の指標に注目しました。
確認された指標は以下のとおりです。
・ 本数には関わらず、日常的な喫煙
・ 離婚者または未亡人
・ 過去1年以内に大麻を愛用
・ 禁酒/断酒中
・ 長期的にベンゾジアゼピンを使用
・ 長期的に他の催眠鎮静剤を使用
さらに、2つ以上の依存行動があり、ここでは禁酒ではなく大酒が含まれている場合、長期的オピオイド使用の可能性が大幅に拡大しました。
11,719人の肥満症治療手術患者のグループでは、77%が手術前から慢性的にオピオイドを使用しており、術後も大量のオピオイド摂取を継続し、その量は術後に増えていました。
オピオイド慢性使用者には、顕著な特徴があります。
・ 喫煙者の割合が有意に高いこと。
・ 鬱病や不安神経症の有病率が高く、薬物使用障害の既往があること。
・ 抗鬱薬、抗痙攣剤、筋弛緩剤および精神安定剤を使用している可能性が高いこと。
ただし、術後1年の平均BMIには大差が見られませんでした。
Jenaらが、120万人のメディケア患者を対象としたデータを分析しました。その結果、同じ患者にオピオイドを処方した医師の数と、オピオイドに関連する理由で入院する可能性とに有意な相関関係が見られました。
1年間に4人の異なる医師からオピオイドを処方された患者は、それが原因で入院する可能性が3.2倍にもなりました。歯科手技などのごく短期間の使用に限っては唯一の例外と考えられます。
これらの結果に基づき、罹患率および死亡率に影響を及ぼす長期的オピオイド使用事案は新契約引受査定を慎重に検討する必要があります。つまり慢性疼痛に関連する疾患患者では、オピオイドを使用しているかもしれません。
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