2012年06月04日 17時56分更新
「断られることが多い。どんな話をすれば、お客さまは話を聞いてくれるのか」
「もっと話すスキルを高めたい。ぐっと心をつかむような」
セールスを仕事にしていると、こういった思いを持つことは多分にあると思います。
もっと気のきいた返しをすればよかったのに、うまく言えなかった。
あそこで、もっと押せばよかった。そうしたら、入ってくれたかもしれないのに。
・・・・・・・一昔前なら、躊躇するお客さまの言うことを、
応酬話法で端から追い詰めていって、お客さまに印鑑を押させることも できたかもしれません。
でも、時代は変わりました。
来店型ショップが全国にでき、インターネットで情報が得られ、そして誰のアドバイスもなしに
自分で買いたいものを選べる時代になりました。
押しつけられたり、売り込まれるのはたくさんだ、という消費者が自分の意見を言い、
自ら必要な情報を探し、行動できるようになったのです。
テクニックが悪いというわけではありませんが、自分で選びたいと思っている顧客にとって
「こういえばああ言う」的な応酬の進め方には、耳を貸さなくなったということです。
以前、私はネットの代理店を立ち上げたときの スタッフであったことがあります。
コンセプトは 「売り込まれたくない顧客に、自由な比較選択のプラットフォームを提供する」
今でこそ、保険会社の比較サイトは多くありますが 当時はその先駆けだったと記憶しています。
ネットで集めた消費者のアンケートでも同様の回答が多くを占めました。
「売り込まれたくない・押しつけられたくない・自分で決めたい」
サイトで自由に比較閲覧し、気に入った保険会社の商品があったら ネットで申し込む。
医療保険は、ある程度お申し込みがありました。
しかし意気揚々とスタートしたこの事業、結果うまくいきませんでした。
コンセプトはよかったのですが、お客さまは自分ではまだ、選びきれなかった・・・、とでもいうのでしょうか。
自分で選びたいけど これが自分にピッタリな商品なのか、保険金額なのかわからない。
やっぱり誰かに、相談したい。売り込まない人に。
来店型ショップが注目を浴びるのは、こういった理由からも当然な流れでしょう。
あなただったら、どんな人から物を買いたいですか?
自分での経験値からですが
自分が、心から信頼されるその人の ただひとりの「専門家」になれるかどうかは
そのお客さまの声に耳を傾け、いかに多くのその人に必要な「情報」を伝えられるかです。
情報とは、保険だけに限りません。
立て板に水のごとく話法が流暢である必要はなく、お客さまを言いくるめる必要もない。
ただ、お客さまの言う言葉に全霊を傾け 心の声を聞こうと 努めること。
そして、そのお客さまのために ただ希望を聞くだけでなく、
プロとしての必要な情報と助言があり、お客さま納得の上で 物事が進んでいく。
そうして作られる信頼関係の上に、保険相談があるように思います。
そういう部分をぬきにした関係性だと
まあ、保険について相談したい、と思った時に お客さまがその担当者の顔を思い浮かべることなど
ありはしないんですよね。
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