2013年10月20日 21時52分更新
疾病概念・原因
かぜ症候群(別名、感冒)とは、上気道粘膜(鼻腔・咽頭・喉頭など)の急性カタル性炎症(滲出性炎症の一つで、消化管、気管支、鼻腔などの粘膜の表層に炎症が起きた際、多量の粘液が分泌される)の総称で、鼻炎・咽喉頭炎・扁桃炎・インフルエンザなども含まれます。かぜ症候群の80から90%が飛沫感染や手指を介した接触感染(ウィルス感染)によるもので、残りは細菌・クラミジア・マイコプラズマなどの感染によるものです。主な起炎ウィルスは、小児ではRSウィルス、成人ではライノウィルス、夏風邪ではアデノウィルスなどです。
疫学・症状・経過
多くの人が1年に1回以上罹患します。冬期に多く、小児が罹患する回数が多い傾向にあります。インフルエンザにはA型・B型・C型がありますが、流行することが最も多いのはA型、次にB型で、C型は幼児の間で感染します。マイコプラズマ肺炎(非定形肺炎)は、以前の日本ではオリンピック(夏)のある年に流行していたことから「オリンピック熱」とも呼ばれていましたが、近年は周期的な流行はみられなくなりました。また2011年6月から罹患者数の増加がみられ、過去10年で最多の感染者数が報告されています。かぜ症候群では、鼻水・鼻閉・くしゃみ・咽頭痛・咳・喀痰・発熱・頭痛・全身倦怠感などの症状がみられます。小児は発熱、成人は咽頭痛に始まり、その後、咳・鼻水・くしゃみ・全身倦怠感がみられますが、全身状態は保たれ、通常一週間以内に症状は治まります。
検査・診断
かぜ症候群の診断は、臨床症状と診察所見、発症した季節や流行などから総合的に行われます。症状や罹患期間によっては他の疾患を除外するために血液検査や胸部X線検査を行います。また、臨床症状からウィルスを特定することはできないので、必要に応じて鼻水や咽頭からウィルスを採取し、免疫血清学的検査を行います。
治療・予後
自宅療養または対症療法で通常数日から一週間の経過で治り、予後は良好です。かぜ症候群は基本的にはウィルス感染なので抗生物質は効きませんが、細菌感染の合併が疑われるような症状が見られる時には抗生物質の投与が必要になります
告知のポイント
かぜ症候群の現症の場合は、それが重症化したり、別の疾患の一症状である可能性もあるので、保険の加入はできないでしょう。一週間程度で症状が消失・完治している場合は、医療保険・生命保険ともに無条件での加入が可能でしょう。一週間以上症状が続いていた場合は、二次性細菌感染や下気道疾患、気管支喘息などとの鑑別に注意が必要となります。3ヶ月以上続くならば、慢性呼吸器疾患など基礎疾患があると考えられます。