2011年12月26日 13時40分更新
私が保険の仕事を始めてすぐのことでした。
兄が舌癌で余命を宣告されました。
税務署を退職し、税理士としての一歩を踏み出してたった1ヵ月後のことでした。
そのころはまだ先進医療などの知識も乏しくただ、ただ医者の方針に従うしかありませんでした。
16時間にわたる手術・・・・
舌を切除して、腕の肉を舌へ、お尻の肉を腕へと移植する手術でした。
手術後・・・腕の肉を舌に移植したせいか・・・舌から毛が生えるんです・・・
言葉は不自由になり、食事も細かいものしか食べられず、味がわからなくなってしまったようでした。
ある日、家族で姉の手料理を食べていたときの出来事です。
私は姉の手料理を美味しいと褒めましたが・・・ 兄がつぶやいたのです。
『俺は一生食べ物の美味しいまずいがわからないんだよ・・・』
私の配慮のない発言を反省すると同時に戸惑いが生まれました。
普通なら美味しいものを作ってくれた姉への賞賛なのに兄の前では言ってはいけないだということ・・・これから食事を何と言って食べたらいいんだろうということ・・・・
兄の闘病生活は1年ほどでしたが、姉と子供たち3人は相当苦しかったと思います。
兄が退職して退職金を税理士開業に資金を投入しまった後の発病ですから生活費や治療費の捻出に苦労したようです。
そのときの姉の言葉が耳について離れません。
『子供たちのために私が働かなくちゃいけないけど、いついなくなるかわからない兄のそばにいたいから働きにいけないの・・・』
結局、兄は亡くなってしまいました。
兄が亡くなりましたが、残してくれた保険金で子供たちは夢をあきらめず目指す方向へ行くことが出来ました・・・・
今思うと・・・治療として高度先進医療が有効的だったのでは・・・とか、私がもっと早く保険の仕事をしていて闘病時の保障もしっかり提案しとけば・・・とか色々後悔は残りますが・・・・
少しでも私が情報発信源になり皆様の選択の幅を広げてあげたり、リスクに気づかせてあげたりでお役に立つのが兄への供養になるのでは・・・と思い日々活動しています。