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平成29事務年度 金融行政方針が金融庁から発表されました。|とれたて!損害保険|上野 直昭

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平成29事務年度 金融行政方針が金融庁から発表されました。

金融庁は11月10日、今後の重点施策を示す金融行政方針を発表しました。

同方針は森長官が就任した2015年から年1回公表されています。

 

 今回の柱は「地銀のビジネスモデルの転換」、「フィンテック」、「資産形成」。

「収益が減る地方銀行への監督を強め、取引先の経営支援に取り組むよう促す」、「再編による寡占と健全な金融サービスをどう両立させるか、競争政策の観点から議論する」、「金融とIT(情報技術)が融合したフィンテックを推進するため、金融法制の再編を検討する」と明記しました。

 

地銀の経営問題には今回も多くのページを割いてあります。

日銀のマイナス金利政策や人口減、激しい金利競争などで地銀の収益基盤は縮んでいて、2017年3月期決算では106ある地銀の過半で、貸し出しと手数料ビジネスという本業が赤字になりました。この中、金融庁は「持続可能なビジネスモデル」を地銀に求めます。

 

カギはコンサルタント機能の拡充。

地元の取引先の経営改善や生産性向上にどれだけ関わっているかを数値で示す新指標を作り、公表することで地銀間の競争を促す方針を示しました。

 

ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行、第四銀行と北越銀行のように、統合で合意しても県内シェア拡大を理由に公正取引委員会の審査が長びく事例もあり、地方の金融サービス維持と、寡占による利用者への悪影響のバランスをどうとるか、機能を維持できない金融機関をどう市場から退出させるか、自己資本比率を基準に発動する早期是正措置の運用を含め、地方金融版の競争のあり方の検討も始めるとしました。

 

フィンテックでは「業態別から機能別・横断的な法体系への見直し」が掲げてあります。

今は銀行なら銀行法、貸金業者なら貸金業法、電子マネー業者なら資金決済法など、業態ごとに管理する法律も規制もまちまち。既存の法体系では「変化に対応できず、業態をまたいだビジネスの障害になる」と指摘し、「規制が原因でITを使った合理化が円滑に実現できない可能性もある」としました。

 

貯蓄から投資への流れも後押し、2018年から始まる積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)では職場単位で口座開設手続きをできるようにし、投資へのハードルを下げます。家計金融資産の6割超を持つ60歳以上の世帯に分散投資を促す必要性にも触れ、豊富な資産がきちんと運用に回るよう、銀行や保険、証券業界と連携して安定した資産形成と利用者保護に取り組むよう明記してあります。

 

金融庁は現在の森長官に代わって以来、「処分庁」から「育成庁」に180度転換しました。

そのために、金融庁としてのビジョンを毎年発表しています。森長官3年目、最終年に向けて、今後の流れを確定させる大事な1年になると考えます。

保険代理店も、金融行政方針をしっかり理解しなければならない時代ですよ。

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