2016年04月22日 17時59分更新
電気代や携帯電話料金のセット割引が広がるなかで、KDDI(au)が始めた携帯電話と保険のセット割引が波紋を広げているようですね。
保険業界は「実質的な保険料の割引に当たり、特定の契約者への優遇を禁じた保険業法に反する」と疑いの目を向けていると報道されていますが、KDDIが4月5日から取り扱いを始めた「auのほけん」って、『保険代理店』ではなく、『単なる斡旋』にしか過ぎないので金融庁としても手が付けれないと思いますね。
auの携帯電話の機種変更等でauショップに行って待ち時間が生じたら、おそらく「auのほけん」でもチェックされませんかと声をかけられ、単にタブレットを渡され、顧客が勝手に検索するという流れが『単なる斡旋』だと考えます。
まさかテレビCМまで放映されるとは想像もしていませんでしたが、「ほけん」いう一般的な言葉を発しているだけで具体的な保険会社や商品を連想すらさせませんので、当然、募集行為ではないですよね。
ドコモは本気で保険代理店として募集しますので、今夏スタートと時間を有し、且つスタートは20数店舗と店舗数が限定されますが、単なる斡旋であれば募集人資格者を準備することもないので、いきなりの2000店舗一斉斡旋となり、テレビCМも可能となった訳ですね。凄い戦略だと思います。
こうして保険業界に一石を投じ、更に注目を集めるという流れも戦略の一端ではないのでしょうか。
問題となっているセット割引は、提携するライフネット生命保険の医療保険、au損害保険の傷害保険など10商品にauの携帯電話を利用する人が加入すると、携帯通信料が月200円割り引かれるほか、30~500円分のポイントをもらえる特典が付くというもの。
金融庁の監督指針をみると、「特別利益」に該当する基準は保険会社が提供する物品やサービスが(1)社会相当性を超えていないか(2)換金性に照らして実質的に保険料を割り引いていないか(3)契約者間の公平性を著しく阻害していないか――が判断の目安になります。
保険という人生設計に欠かせない商品を取り扱い、相互扶助で成り立つ保険業は契約者間の公平性が大前提になりますが、この前提が崩れると不公正な競争を誘発し、保険会社の健全性を損ねて契約者に不利益が及びかねないとの考えが同法の背景にあります。ただ一方で、消費者の立場からみれば、保険料の引き下げは健全な市場競争でもあり、節約の利点も大きく、実際、保険営業の現場では図書券などが配られることもありますので何が特別利益に当たるのかの線引きが曖昧な面もあります。
保険料を割引している訳でもなく、保険代理店でなく単に斡旋だけしているauがどう解釈されるのか注目してみて行きましょうね。
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