2012年04月11日 21時00分更新
保険は色々に潜む「リスク」を転嫁するための一つの手段であって、「保険に加入したから安心」という認識はむしろ危険です。
まずは、「どんなリスクが潜んでいるか」、「これによってどんな損失が発生するのか」を把握する必要がありますよね。
これを「リスクマネジメント」と呼び、こうしたアドバイスが確実に出来る「リスクアドバイザー」として保険代理店の方々はお客様に接する必要があると考えます。
例えば、航空会社における「リスク」を想定してみましょう。
その要因として真っ先に思い浮かべるのは「航空機の墜落」でしょう。
では、どうして墜落事故は起こるのでしょうか。
ひとつ考えられるのは「機体の整備不良」でしょうか。そして、整備不良が発生する環境としては、人手不足やモラルの低下による作業のチェックミスや機体メーカーの教育が不十分であった等が考えられますよね。
あと「ハイジャック」も考えられます。ハイジャックが発生する環境としては、危険物持込が容易な構造の空港であった、または金属探知機の感度が低かった等が想定されます。
または「他の物体との接触」ということもあるかもしれません。発生環境としては空の交通の過密化、管制体制の不備が指摘されるでしょう。
更に、「パイロットの操縦ミス」による墜落も考えられます。状況判断の誤り・思いこみ等からミスが引き起こされる可能性があります。
如何ですか。この様に、まずは航空会社が損失を被る可能性=リスクを考え、そして「航空機の墜落」という損失の直接原因を想定しました。そこから、直接原因を発生させる「機体の整備不良」「ハイジャック」「他の物体との接触」「操縦ミス」という要因と、そこに至るいくつかの環境を洗い出してみました。
更に航空機の墜落による損失を大きく五つに分類してみましたので一緒に確認して行きましょう。
パイロットや客室乗務員といった乗員が死傷する可能性があります。
航空機そのものを失う可能性があります。
墜落した航空機が今後稼ぎ出したであろう利益も失われます。
乗客の方々が死傷される可能性があります。また米国同時多発テロで起こった悲劇の
ように機体が地上の建物などを破壊し、その場所にいた人々が死傷する可能性もあり
ます。それらの被害に遭われた人々やその遺族、または破壊された建物等の所有者に
対し航空会社は損害賠償責任を負う可能性があります。
墜落に至るまでの経緯やその後の対応次第では航空会社はその信用を大きく失墜させ、その後の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
このように、「リスクを洗い出すこと」がリスクアドバイザーとしての最初の仕事となります。
如何でしょうか。
今回はアカデミックな展開でしたが、保険の基礎は「リスクマネジメント」です。
この機会に、もう一度基本に立ち返って考えてみませんか。
前の記事