2012年03月11日 00時16分更新
東日本大震災より1年が経過しました。震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
2011年3月11日は東京で勤務しており、地震の揺れとその後の余震・そして福島第一原発の事故と非常に緊張した日々を送っていた事を今でも鮮明に思い出します。
今もなお、東北・関東では余震が続き、被災地では厳しい状況が続いています。復興についての問題点などはいろいろと報道されていますが、進まない現状に文句を言うのではなくまずは私自身が出来る事を確実に行う事で微力ながら復興のお役に立てればと思います。
さて、震災について保険が果たした役割は非常に大きな効果があったと思います。
震災後、地震リスクに関する保険の引受は各保険会社ともに非常にネガティブになりましたが、それでも企業経営において保険によるリスクヘッジは非常に効果的な手法の1つだと思います。
そこで今回は、企業分野における地震リスクを補償する主な保険商品をご紹介します。
■地震拡張担保特約
個人住宅や併用住宅の地震保険は火災保険の特約として付帯しますが、企業分野における地震補償も同じく火災保険の特約として付帯します。
住宅分野の地震保険は、国民の財産を守るという観点から政府が再保険を引き受けている為に希望すればどんな物件でも加入する事が出来ます。ただ構造等により保険料率の違いがありますが、火災保険金額の30%から50%までの間で保険を掛ける事が出来ます。
これに対して企業分野の地震拡張担保特約は、各損害保険会社の独自判断により引受を行うため、各社判断により引受をするか否かを決める事が出来ます。
東日本大震災以降、タイの洪水等により保険会社各社の支払がかなり増えてしまった為に、保険会社によっては企業分野の地震保険の新規引受を一切行わない会社もあります。
あとは補償内容も各社独自で決める為に、保険金額に対する割合や事故発生時の免責金額など、各社条件が違います。もちろん保険料も大幅に違ってきますので、実際に検討される際は、少しでも多くの保険会社から情報を集めた方が良いです。
■天災危険担保特約
企業が従業員に対して、政府労災以外に就業中のケガに対する補償を傷害保険などで付けているケースがあります。
この天災危険担保特約は、傷害保険に付帯する特約です。傷害保険は、地震・津波・噴火によるケガは補償されませんが、この特約を付帯していると補償されます。
実際に東日本大震災は3月11日金曜日の14時46分という時間帯で、多くの人は就業中でありました。
実際に地震はいつ発生するか分かりませんから、保険料は割高にはなりますが、万が一の際の補償という観点から見ても労災上乗せ補償について天災危険担保特約は付帯しておいた方が良いのかもしれません。
■地震デリバティブ
保険商品ではありませんが、地震に対するリスクヘッジとしては有効な金融商品の1つになります。
地震デリバティブは、あらかじめ観測地点と対象震度を設定しておきます。設定した観測地点の震度が対象震度以上になった場合に、損害の有無に関わらず自動的に補償金が支払われます。
自動的に支払われる為に、損害調査が不要となり素早く補償金が支払われるという特徴があります。ただ通常の保険商品でない為に、補償料(オプション料)は契約満了時に初めて全額が損金として計上する事が出来ます。
※詳細な経理処理は税理士・公認会計士等にご確認下さい
まだまだ地震に関する補償商品はあります。面白い商品としては、地震発生時に利益を補償する保険商品などもあります。
自社の地震リスクに対してどのような商品が効果的なのかを、震災から1年が過ぎた今、改めて見直してみてはいかがでしょうか?
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