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「実質返戻率」という罠|企業保険ワンポイントアドバイス|奥田雅也

企業保険ワンポイントアドバイス|奥田雅也

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「実質返戻率」という罠

法人の生命保険設計書を見ますと、各年度の解約返戻金を示した表に「実質返戻率」という表記があります。


この「実質返戻率」とは何を差すのでしょうか?


設計書上では、支払った保険料のうち損金に計上出来る金額に対して、税率を掛けて「軽減税額」を計算します。支払保険料から軽減税額を差し引いたものが実質負担保険料となり、その実質負担保険料に対して解約した際に戻って来る解約返戻金との割合が「実質返戻率」となります。


言葉で書いてもなかなか分かりにくいので、計算式に表しますと・・・


解約返戻金÷【支払保険料-(損金計上額×税率)】=実質返戻率


となります。


例えば、 支払保険料 100
全額損金計上
税率40%
解約返戻金80
だとしますと、80÷【100-(100×40%)】=133.3%となり、「実質返戻率」は133%という事になります。


これが保険業界では当たり前の様に使われている指標ですが、果たして本当に133%もの効果があるのでしょうか?


まずは実効税率です。


平成24年度は法人税減税&復興増税という分かりにくい状態でありますが、800万円超の法人であれば40%でも間違いではないのでしょうが、800万以下の法人であれば、30%前後になります。


それで言えば、まず実効税率の適用率が法人の実情と合っているのかどうかを確認しなければなりません。


次に、この「実質返戻率」はあくまでも解約返戻金に課税をされない前提である点を見逃してはなりません。


損金計上が出来る生命保険を解約した場合、解約返戻金からその契約の保険料として貸借対照表上に記載されている積立額を差し引いた額を雑収入として計上しなければなりません。


上記の例で申し上げれば、支払保険料は全額を損金計上しているので、解約返戻金の80は全額が雑収入として計上されます。


その為に、この雑収入を考慮しても最終利益が出なければ課税はされないので、「実質返戻率」の効果は得られた事となります。


それに対して、最終利益が出て黒字になった場合には課税されますので、「実質返戻率」の効果は得られなかった事になります。


さらに、生命保険を活用して役員の退職金積立を行うケースも多くありますが、この場合は、解約返戻金相当額を役員退職金として損金計上が出来れば、確かに法人税の課税はまぬがれます。


しかし、役員個人では退職所得に関する所得税が課せられる事となりますので、ここで課税が発生します。


そうすると、表面上の法人では「実質返戻率」の効果は得られていますが、個人まで通算すると「実質返戻率」の効果は得られていない事となります


この様に、「実質返戻率」とは「解約返戻金に課税が発生しない場合に得られた効果」だけを表している率でありますので、取扱には十分注意する必要があります。


特に「実質返戻率」の効果だけをアピールする保険営業パーソンは法人の事についてあまり詳しくない人と思って良いのかもしれません


ちなみにこの議論は、私が主催するSNSのコミュニティーでかなり話題になった内容を編集してお届けさせて頂きました。議論をして頂いた皆さまにこの場を借りて御礼申し上げます。

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