2016年06月02日 17時21分更新
トヨタ自動車が2017年3月期に大幅な減益となることを5月11日に発表しました。
その際の豊田章男社長のコメントが秀逸でしたね。
■「ここまでの数年間は『追い風参考記録』だった。風がやみ、等身大の姿が見えて来た」
為替による大増益を追い風参考記録と評するのは流石の一言だと思いました。
■「昨年は『意志ある投資を進める』と話した。今年は意志が試される一年になる」
逆風の中でも今期の研究開発費は1兆8000億円、設備投資は1兆3500億円と前期比2
~4%増やし研究開発費は過去最高を見込んでいます。まさに意志る投資だと思います。
■「モビリティー(移動手段)そのものが大きな転換期に差し掛かっている」
IT企業なども巻き込み、自動運転やカーシェアリングなどの実用化・普及を目指す動きが加速する中、こうした危機感を表明。
■「自動車事業の枠に収まらない領域にも種をまいた」
米シリコンバレーに人工知能の研究所を新設するなどし、米グーグルなどから研究者を引き抜き開発体制を強化しており、今後も短期の収益の変化にかかわらず、息の長い研究開発への投資を続ける方針を表明。
■「経営を預かる際、20~30年のコミットが必要と考えた」
リーマン・ショックの直後に豊田章男社長が就任した際、赤字転落を受け設備投資を一気に5割以上減らすなど支出を急減させた結果、商品力の強化が遅れた苦い経験があるため、車のタイプなどに応じて組織を細かく分けるカンパニー制を導入し、各カンパニーに権限を委譲し事業のスピードを上げ、中長期にわたって持続的成長出来る仕組みの構築しようとしています。
所謂「プロ経営者」が相次いで退場する中、創業者から引き継がれる巨大企業のトップの判断は凄いですね。
保険にも置き換えられると思って発言を観ていました。
■東日本大震災後、保険ショップには多くのお客様が立ち寄られ来店客数は数倍に、一方顧客単価は5分の1になり、この間、元来保険ショップがターゲットとしていた所謂「中間層」がアベノミクスの関係もあり消滅。保険ショップも本当の意味での等身大が見えて来ています。
■ここ数年、保険ショップの出店は止まりました。最近の出店も数年間の大店法施行前に杭を打たれた商業施設に出店が続いただけで特徴ある出店はありませんでした。その意味では意志ある投資は保険業界ではなく、皆が守りに入りましたね。
このツケは大きいと思います。
■「大きな転換期、潮目」はまさに保険業界のためにあるようなワードだと思います。
■保険以外の領域に足を踏み出しているのは、一般社団法人結心会だけだと思いますね。
■保険業界は5年先ですら見えないので、長期のコミットメントは出来ません。ここはトヨタとは違うところでしょうね。
何気に豊田章男社長のコメントは保険業界にもハマるコメントになっています。
改正保険業法施行が控える今、保険代理店も現状分析をしっかりやり、中長期的なビジョンをしっかり持って舵を取って前に進んで行きましょう!!
今は動かないとダメですよ。