2012年01月27日 00時54分更新
1月13日と1月16日に養老保険の税務取扱に関して、最高裁判所の判決が出ました。
その内容は「逆養老(逆ハーフタックス)」と呼ばれる特殊な養老保険の契約形態に関する税務についてです。
逆養老(又は逆ハーフタックス・養老リバース)ってそもそも何?という事からまずは確認をします。
事業主が養老保険を福利厚生目的で従業員に付保をした場合、下記の契約形態であれば支払保険料の半分を福利厚生費として損金計上する事が出来ます。
契約者=法人
被保険者=全従業員
死亡保険金受取人=従業員の遺族
満期保険金受取人=法人
残り半分は保険積立金として資産計上です。これが養老保険を活用したノーマルな「ハーフタックスプラン」です。
それに対して逆養老は、死亡保険金受取人と満期保険金受取人が逆になります。
契約者=法人
被保険者=役員
死亡保険金受取人=法人
満期保険金受取人=役員
こうする事により、半分を福利厚生費として計上していたものを、保険利益が法人になる為に、支払保険料として半額を損金計上します。
残り半分は、満期時に役員が受け取る為に「給与」として処理します。半分が支払保険料で、残り半分が給与であれば法人が負担した保険料は全額が損金計上出来た事になります。
この逆養老のスキームにおいて、満期保険金を受け取った際の税務については、以前は明確にされていませんでした。
その為に満期保険金を受け取った際の税務処理について、争ったのが今回の裁判です。
税務当局は、受け取った満期保険金から給与扱いになっている半分相当額については、一時所得課税の計算時に控除しても良いが、法人が負担した保険料分を控除出来ないという事で、満期保険金受取人に対して、一時所得課税での申告を課しました。
ただ、この一時所得課税については明文化されたものがなかった為に、納税者側はこの税務当局の見解を不服として、裁判に持ち込みました。
そんな中、平成23年度の税制改正において以下の文言が記載されました。
居住者が支払を受けた生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の金額の計算上、その支払を受けた金額から控除することができる事業主が負担した保険料等は、給与所得に係る収入金額に算入された金額に限る旨を法令に規定します。
(注)上記の改正は、平成 23 年4月1日以後に支払われるべき生命保険契約等に基づく一時金について適用します。
逆養老の満期保険金を個人が受け取った際のルールが明文化されたのです。
この流れを踏まえて1月13日と1月16日に出ました最高裁判決は、税務当局の指摘と平成23年税制改正のルール通りに申告すべきであるとし、納税者側の訴えを退けた内容となりました。
従来は、税務ルールがないスキームでしたので、私個人は一切提案をしませんでした。
ところが今回の判例&税制改正によりまして、ルールが明確になりましたので、これからはお客様のニーズによっては提案する方向で考えたいと思います。
今後は逆養老のスキームが人気になるかもしれません・・・・。
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