2013年06月05日 13時58分更新
ワールドカップアジア最終予選 日本代表-オーストラリア戦は1-1の同点で終了、
めでたく日本はワールドカップ出場となりましたね。
後半終了間際の本田選手のPKが決まった劇的な勝利は、見ていた人は大いに
沸きかえったことだと思います。
(見ていた私も、ゴールが決まったときには思わず声がでました)
この後、なんですが。
渋谷スクランブル交差点は、勝利の雄たけびと共にハイタッチをする若者で
あふれかえった前回の教訓から、今回は多くの警察官が警戒規制をはる状態となっていました。
バリケードを作り、たくさんの警察官が集結して警戒にあたる姿をニュースで見て、
大変だなーと思っていましたが
ひとりの警察官がスピーカーを使って誘導している内容に注目してしまいました。
「目の前にいる怖い顔の警察官も日本代表のW杯進出を喜んでおります。
みなさんはチームメイトです。お巡りさんもこんな良き日に怒りたくはありません。
ゆっくりと駅に進んでください。」
「私も心の中では喜んでおります。 みなさんどうかお巡りさんの言う事を聞いてください。
ゆっくり進みましょう」
「日本代表のユニホームを着ている皆さんは12番目の選手です。
日本代表はルールとマナーを守ることで知られています。
チームワークをお願いします。駅の方向へ進んで下さい」
概ね、このような内容を 大勢の若者に語りかけるように伝えていました。
これは「共感」の言葉がふんだんに含まれていて、相手の心に響く誘導でした。
「私もあなたと同じように喜びを感じている」
「あなた自身や、ここにいる仲間が安全であるように願っている」
「そのために、ここで安全を確認させてもらっている」
そんなメッセージが、びしびし入っています。
暴徒化したり、多くのけが人や逮捕者が出なかったのは、この誘導もひとつのポイントでは
なかったかと思います。
高圧的に制するよりも、明らかに聞き手にとって受け入れやすい話し方です。
相手の言うことに耳を傾けて自分を律する余裕を与えることができます。
コーチングでいうところの「共感」のスキルとでもいうのでしょうか。
「私も~こう感じている」という言葉を多く発することで、「楽しみを邪魔しにきた」とか
「御上」が捕まえにきた、というような印象を、あの喧噪のなかで一気に
「職務で来ているけど思いは同じ」という目線で伝えて治めたところに、
清々しさすら感じてしまいました。
大騒ぎの群集に、頭ごなしに言ったところで、決して聞く耳はもってくれないでしょうし
かえって火をつけてしまうことも考えられます。(そこは織り込み済みでしょうけれど)
最初から、あの語り口が警察の中で考えられていて誘導したのか、
そのお巡りさんのいちスキルなのかはわかりませんが、
「伝え方」の大切さを見た気がします。