2019年04月18日 18時25分更新
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど小売・外食企業の「出店=成長」モデルが崩れ始めたことが報じられました。
ローソンは2019年度の店舗数の純増をゼロにすると明らかにしました。「徹底して加盟店オーナーを支援していく」と拡大戦略の転換を宣言し、人手不足で疲労する加盟店の競争力強化に力を注力するそうです。売り上げ増が見込める立地への店舗移転の支援のほか、10月までのセルフレジの全店導入などを通じて加盟店の経営を改善させます。店舗数が増えないのは、2002年以来、17年ぶりになるそうです。
セブン&アイ・ホールディングスも19年度の国内コンビニの店舗数の増加幅を150店と40年ぶりの低水準に抑えることを発表しました。セブン&アイも新規出店の抑制で、加盟店強化に軸足を移すと表明しました。
背景には、大量出店で、加盟店が昔のように稼げなくなり、1店舗当たりの収益力が低下していることがあると報じられています。コンビニ大手の成長の原動力は新規出店による売上高の増加でした。各社は加盟店の粗利益の一定割合を経営指導料として受け取ります。そのため、加盟店のすぐそばに新店をオープンさせた場合、加盟店には打撃となる一方、本部の収益はトータルで増えるケースが少なくありませんでした。
こうした利益相反関係は、共存共栄のはずの両者にすきま風を吹かせ、24時間営業を巡って本部とFC店が争う構図を作ってしまいました。
コンビニ市場自体も飽和し、コンビニ1店舗当たりの売上高の伸びは10年前に比べて1割に届かない現状で、一方、最低賃金は10年前に比べて2割強も上昇しました。
全く同じことが立地で伸ばしてきた保険ショップにも言えます。
保険ショップは全国に2300店舗以上あると言われていますが、出店している「商業施設そのものの集客力」に陰りが見え、高い家賃を払って365日休みなしで営業することがスタッフの労働条件、人件費も含め大きな負担となって来ています。コストについては、保険会社からのインセンティブや広告宣伝費の肩代わり等々で賄っていましたが、これを保険会社が支払えなくなったことで一挙に店舗運営が厳しくなっています。
保険ショップの出店での成長は既に数年前に終わりましたが、もう一度、保険ショップ繁栄の主要因は「立地ではなく、スタッフの教育とお客様へのおもてなしであった」ことを思い出して、軸足を戻して人の育成に注力すべきと考えます。これが出来れば売り上げはついて来ます。
とは言え、出店した保険ショップは「インフラ」として、まだまだ機能できます。折角、来店いただける場所があるのであれば、「インフラを多様化」させる工夫をし、様々な多様な個人情報を得て、個人情報の厚みを増し、データ化することで、新しいマーケットを発掘できると考えています。その工夫とは何かで、保険ショップはしのぎを削っていく時代に突入していると考えます。
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