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平成28事務年度金融レポート「フィンテックへの対応」|とれたて!損害保険|上野 直昭

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平成28事務年度金融レポート「フィンテックへの対応」

平成28事務年度金融レポートが金融庁より発信されました。金融庁ホームページからダウンロードできますので、 確認してみて下さい。

 

その中に、フィンテックに関する記述がありました。その中から抜粋して内容をご紹介したいと思います。

 

(ア) 何が起きているか

従来の B to C 型のビジネスモデルから「顧客情報の蓄積・分析に基づく、顧客と企業との共通価値の創造によるテーラーメイド商品の提供」という C to B 型のビジネスモデルへの転換が進んでいくことになる可能性がある。

 

(イ) 新たにどんな価値を創造しうるのか

フィンテックによる新たな価値創造やビジネスモデルとして、預金、決済、融資等の金融サ ービスと、家計簿作成、決算、監査、契約や物流の管理等の非金融サービスをリバンドルし て提供することにより、情報の非対称性やモラルハザードを低減させ、入口審査に重点を置 いた狭いビジネスから、継続モニタリングに重点を置いた広いビジネスへの転換を図り、併せて金融による生活・経営改善インセンティブの提供を行い、顧客と事業者が win-win の関係を築けるようになる可能性がある。

 

(ウ) 新しい金融ビジネスの鍵となりうる要素

フィンテックが進展していく中にあっては、顧客情報を蓄積・活用し、既存の金融サービス や非金融サービスをアンバンドル・リバンドルすることにより、顧客と共有される価値を創造できるようなビジネスを展開する主体が金融サービスを主導していくこととなる可能性が高い。

現状、既存の金融機関にとっては、店舗網、巨大な IT システム・バランスシートや、それを 支えるための自己資本が従来からの B to C 型のビジネスモデルを支える競争上の力の源泉となっている。また、資本集約型の膨大な生産要素を確保する固定費を、資本集約型の参入 障壁により超過利潤が確保できる業務と、利潤は薄いが品揃えのために提供している業務の全体で負担して、フルライン型のビジネスモデルを成り立たせている状況である。 しかし、現在進展しつつある変化は、こうした状況を変えつつあり、将来的には、従来は力 の源泉だった巨大なメカニズムがレガシーアセット(負の遺産)化してしまう可能性がある。この場合、これまでとは別の付加価値形成を行わなければビジネスが成り立たなくなる可能性がある。

こうした中にあって、顧客情報の蓄積や利活用が、新しい金融の決め手となる可能性が高 い。また、顧客から見れば、フィンテックにより金融が高度化する中で技術自体を評価することは難しいため、提供者が信頼できるかという観点から、サービスを選択するようになると考えられる。したがって、顧客本位のビジネスモデルを築き、顧客との信頼関係を形成していくことが一層重要になると考えられる。これらに鑑みると、下記の点が、新しい金融ビジネスの重要な要素となる可能性がある。

ⅰ 急速な技術革新や新しいビジネスモデルの出現に対応するため、金融機関が自前主 義にとらわれず、外部との連携・協働によるイノベーション(オープン・イノベーション)を進めていくことが、これまで以上に重要になってくる。

 ⅱ  店舗網、システムやバランスシートの規模等、これまでの力の源泉が重要性を失い、顧客情報の利活用等、新たな要素の重要性が高まる中で、新しい環境に適応するための経 営判断をタイムリーに行える経営力とガバナンスが重要となる。

 ⅲ フィンテックが進展する中でも、企業の事業の将来性を見極め、ファイナンスやアドバイスを提供していく役割等は、少なからず金融機関に残ると考えられる。こうした分野で、付加価値ある金融サービスを提供していくか否かが、競争力を左右する大きな要因の一つとなる。

 

 (エ) 新しいネットワークの姿

フィンテックが進展していく中、金融システムのネットワークの姿も大きく変化していく可能性がある。現在は、全体としてみれば、金融機関がメインプレーヤーとして相互につながる一方で、顧客は取引金融機関を通して間接的につながる仕組み(「金融機関ハブ型」)となっている。しかし、金融サービスと非金融サービスのリバンドリングが広がれば、単一の企業グループがあらゆる場合に最適の組み合わせを提供することは困難であるため、顧客とのインターフェースをつかさどる企業が外部から顧客の利益に沿うサービスを調達し組み合わせて提供する「インターフェース企業中心型」の方がより合理的となる可能性がある。 また、ブロックチェーン技術による分散処理が進めば、顧客が直接取引所に参加するような仕組み、さらには、ルール設定等を担う仲介役の下で、顧客同士が直接取引を行うような 仕組みへの発展も考えられる。

 

(オ) 当局はどのような考え方で臨むべきか

フィンテックが進展する中において、当局は、フィンテックによる一大金融変革期がおとず れる可能性について十分考慮した上で、経済や金融システムの安定・発展に資する環境を 整備していく必要があり、その際には、足下の個別の問題に機動的に対応すると同時に、全 体として、以下のような、プリンシプルに基づいて対応していくことが重要である。

ⅰ 第1に、「経済の持続的な成長と安定的な資産形成を通じた国民の厚生の増大」という金 融行政の究極的な目標に最も良く寄与できるかを基準に判断を行う。

ⅱ 第2に、顧客とともに新たな価値を創造し、顧客の信頼を得ることのできる担い手が成長できるよう、必要な環境整備や障害除去をフォワードルッキングに行っていく。

ⅲ  第3に、利用者保護上で生ずる新たな課題等に対処する際に、手遅れになって被害を拡 大させることがあってはならない。他方、先走って過剰規制になることも避ける必要があり、 過不足のない弊害防止策を適時にとることを目指す。

ⅳ 第4に、既存金融機関のメカニズムのレガシーアセット化については、当局は金融機関に対しフォワードルッキングな経営を促すことによって対応すべきであり、対応できない金融 機関が発生しないようにイノベーションを制限するといった対応は行わない。

 

フィンテックについては、今後の金融に欠かせないキーになり、色々なベンチャー企業も参画して来ています。

我々も注目しつつ、とにかく「チャレンジして経験値を増やして行く」ようにして行こうではありませんか。

 

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