2017年05月18日 18時21分更新
株主訴訟で、驚愕の判決がありました。
2011年に発覚した「オリンパス」の巨額損失隠し事件で、同社と株主1人が菊川元会長ら旧経営陣や相続人計18人を相手に、それぞれ損失隠しに伴う損害額の全額や一部を同社に賠償するよう求めた訴訟の判決で、東京地裁は菊川元会長ら8人に計約590億円を支払うよう命じました。
大竹昭彦裁判長は「元会長らが任務を怠らなければ(損失隠しに伴う)虚偽の有価証券報告書が出されることはなく、賠償責任を負う」と述べました。
訴えられた18人は、元取締役15人と、死去した元取締役1人の相続遺族3人。
判決は、そのうち損失隠しに関与したとして菊川元会長ら元取締役5人と遺族3人の計8人に対する賠償責任を認めました。
大竹裁判長は、損失隠しに伴い虚偽記載された有価証券報告書に従って違法に配当された金額は、計約587億円に上ると指摘。
損失隠し疑惑を追及した英国人社長(当時)を解任したことで、同社の信用を毀損(きそん)して与えた損害なども認定し、それぞれの損害に関与した旧経営陣らは、損害額を分担して支払うよう命じました。
残る元取締役10人については、損失隠しに関与せず事情も知らなかったとして、「何らかの疑念を抱く状況にはなく、違法行為を調査するなどの義務を怠ったとは言えない」と請求を退けました。
企業不祥事に対する社会の目が厳しくなる中、元役員や会社が「株主」から訴訟を起こされ、高額の賠償を命じられるケースは少なくありません。
株主代表訴訟が相次ぐようになったのは1990年以降。1993年の商法改正で提訴時の手数料が引き下げられ、巨額の賠償請求をしやすくなったことが要因です。
日本国内の最高額は旧大和銀行ニューヨーク支店の巨額損失を巡る株主代表訴訟で、大阪地裁は約880億円の支払いを命じました。その後もダスキンや蛇の目ミシン工業などで100億円を超える賠償命令が言い渡されています。
これに備える形で「会社役員賠償責任保険」があります。
損害保険会社で取り扱っており、保険料は支払限度額や企業規模、業種で異なります。限度額は高額なもので数十億円、保険料は年間1000万円を超えることもあります。但し、保険金支払いにあたっては、経営陣の犯罪や法令違反を認識していた場合には対象となりません。オリンパスの事件の場合、保険金支払い対象とならないほど悪質でありますし、実際、500億円を超える契約は日本の保険会社では高すぎて契約出来ないと考えます。
大手上場企業の9割は当該保険に加入しているそうですが、企業経営者の方は是非、当該保険加入を検討されては如何でしょうか。お近くの保険代理店、保険ショップにご相談ください。
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