2012年09月24日 10時08分更新
「騒じょう」って言葉、分かりますか?
損害保険業界にいる方は直ぐピンと来られると思いますが、一般では使われませんよね。
「騒じょう」をWEBで調べると、『多数の群衆や多数の者の集団行為またはこれらに対する公権力行使により、一定規模以上で平穏が害されることをいいます。』と書かれています。
従って、中国で起きた反日デモで暴徒化した群衆が施設とかを破壊していった行為は「騒じょう」となります。
通常、リスクの想定が難しい「戦争」、「テロ」、「騒じょう」の被害は「保険では補償しない」というのが一般的です。
では、中国で破壊された日系企業の施設は保険でカバーされるかですが、通常は「騒じょう」による損害は「免責」とされていますが、これを「特約」として「補償できる」ようにしていたため今回はお支払いの対象となるようですね。
流石に「戦争」、「テロ」リスクよりは「騒じょう」は低いリスクではありますが、テロ事件で会社経営が破たんした保険会社が過去にあるのに懲りていないようですね。保険会社の質の低下を感じていますが、リスク・マネジメンを出来ないようではどうかと思います。
閑話休題。
日本経済新聞の記事によると、損害保険会社の保険金支払額は最大で数十億円規模とのこと。
2005年に起きた中国での反日デモの際は暴動の発生がごく一部の地域にとどまったため保険金の支払いはほぼ無かったらしいですが、今回は地域が広範囲にわたる上、商業施設だけでなくメーカーの工場など幅広い施設に被害が及んだことから保険金支払額は大きくなると報道していました。
損害保険会社は、こうしてリスクが顕在化し、実際に多額の支払いが発生すると「入口」を直ぐに閉める傾向にあります。
実際、2011年のタイ大洪水で被災したホンダや東芝など多くの企業では保険会社が保険契約更新時に「引受」を拒否したため、「水害に対して無保険」となっているとの報道も流れました。
ホンダは2012年3月期に水害関係の災害損失を234億円計上したが、関連する保険収入を217億円得ています。こうした保険金の支払いが損害保険会社合計で約5千億円に達したため保険会社各社は引受を拒否した結果となりました。実際、保険会社が別の保険会社に保険加入してリスクヘッジをしようとする再保険自体が引受拒否或いは保険料の暴騰となったと推定されますので仕方がないとは思いますが、余りにも「刹那的」な対処ですよね。
最近の中国や韓国との関係悪化を考えると「騒じょう」による損害も引受不可となる可能性が高くなるので海外進出する企業は、保険でなく自社でリスク回避できる手段をより講ずる必要が出てくると思いますね。その分、進出コストが高くなり価格に転嫁されると海外進出の意味が無くなりますよね。
意外と「損害保険と海外進出」って関係あるんですよ。
勉強になったかなー???
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