２０歳の介護士を尋ねて (4/4)｜医療と介護の現場を見て｜柏崎 昇一

２０歳の介護士を尋ねて

 

４）　オリンピックに出場する国母選手の腰パンが非難されていた。

20歳の君がこのときは口を尖らせ、強い口調で言った。

「大人の、偉い人の言うマナーって何？」と「大人でも感謝の気持ちがもててない人は多いよ」と続けた。

ショートステイから帰るとき施設に迎えに来た家族の人で私たちに「ありがとう。お世話になりました。」など感謝の言葉を言う人は少ない。お年よりも私たちに迷惑をかけないように頑張っていた。

施設では家族と離れてさびしかったはず。なぜもっといたわりの言葉をお年寄りにかけてあげないのか？

家まで車で送っていくと家の奥から「玄関に置いてって」と声がして玄関まで迎えに来ない。「物じゃないよ、あなたの親でしょうが」と言いたくなるし、一日が不愉快になるし、悲しくなる。

 

：：この仕事をしてどう思っているの？

私はお年寄りの世話をして良かったと思っている。この仕事が好きだ。

給料は安いし、退職金も無いようだけど、どのお年寄りを見ても可愛い。だからこれからも出来ることはしてあげようと思っている。

でも、結婚して子供が出来たらこの仕事は続けられない。夜勤は月に６～７日あるがそれは完全に無理。

でもパートで続けようと思っている。車のローンもあるので私も働かないと食べて行けないからね。

「今ねー彼氏が出来たんだよ。フッフッフ。でもお母さんには内緒だよ」・・真剣に生きているこの子の屈託の無い笑顔がとても可愛い。

 

：：人はオギャーと生まれた時からゴールの「死」に向かって進んでいく。元気なときは「子供に迷惑はかけない」と強がり、この若さ、健康がいつまでも続くようなことを言う。誰にでも必ず来る老いに向き合おうとしない。

情熱と使命感を持ってこのことをお客さまに熱く語って行きたい。