2016年06月02日 17時09分更新
幸せそうな若い家族を目の前にして、突然の不幸や加齢の話をする。
やれやれ、因果な商売だな…
よっぽど強固な使命感に支えられていなければ出来ない仕事だ。
目の前の現在満ち足りた人生を送っている人々に、
老後の事を想像させてその備えの重要性を説く。
Future belongs to those who plan for it.
(未来はそれに備えたものだけにやってくる)
なんてカッコつけて言ってみても、なかなか相手は乗ってこない。
難しい仕事だ。
この、来たる未来を鮮やかに素早く正確に、できれば楽しさに乗せて
目の前の見込み客の脳裏のスクリーンに映し出せる人を、
トップセールスマンと人は呼ぶのだろう。
「百聞は一見に如かず」(ひゃくぶんはいっけんにしかず)と言われるが、
タイムマシンでもなければ、未来年老いた彼らを実際に見せることは出来ない。
残念ながら、2016年5月現在タイムマシンはこの世にはない。
20年程前、ソニー・コンピュータエンタテインメントがまだ準備段階の頃、
お願いをしに行ったことがあった。
顔写真を撮り込むと、その人の老人になったときの顔に加工できないかと。
できれば、それを人生ゲームに出来ないかと。
話術の粋を尽くさずに見込み客を数十年後の空間に運ぶ込むことができ、
ライフプラン作成の重要性を理解させることができると思った。
しかし、このお願いは一蹴された。
数日前、友人があるアプリを遊び半分で紹介してくれた。
スマホで僕の顔写真を取るとなんと老け顔になるのだ。
(僕は十分に年をとってはいるが)
このアプリの開発者は、異国の保険屋さんがこんなに喜んだのに
気がつかないだろう。
話ベタの見込み客を、未来に誘導させ危機を想像させられないで悩んでいる
あ、な、た
すぐにこのアプリを使ったらどうですか。
な、なんと無料だよ。
「キーワード: オールドブース、無料エージング、シニア、年寄り」
ああ、これがあったら、何万人の保険営業マンがこれまで救われていただろう。
20年程前、結構僕は冴えていたのかも。でも誰も聞いてくれなかった。
ましてや65歳の僕に20年後のことを聞く人は誰もいない。
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