2014年09月16日 11時24分更新
“エムエムさん”
その方のことを、皆、親しみを込めてそう呼んでいた。
皆、彼を語るとき、自然と顔がほころぶ。
温かく優しい紳士。偉大な兄を持ち、人はとかく兄弟を比べたがる。
こんなことを言ってはバチが当たりそうだが、兄は天才、彼は秀才。
兄は、考えずに素晴らしいスピーチが口からほとばしり出て、
世界中の人を感動させ、興奮させた。
世界を喜ばせたい気持ちの結晶が、ウオークマンの誕生だった
のかもしれない。
エムエムさんは違う。
彼は、「起承転結」、ちゃんとオチを考えてから話し出す。
その、考える「間」をある人は「神経質」と言った。
しかし、それは間違い。
私の記憶が確かなら、最後の少年航空兵。おしゃれで気骨があった。
出張先でも、必ずご自身でズボンをプレスされていたのが、
私の印象に残っている。
9月9日突然に、エムエムさんのご尊顔をテレビで、新聞で、
拝見するようになった。
テニスコートの英雄と共に。
錦織圭君は、エムエムさんの支援で、見事に成長して英雄になった。
しかしそれは、エムエムさんの柔和な言霊で今まで育てられた
幾千万の人の中の、たった一人であろう。
彼は象徴だ。
87歳になられた、変わらない、おしゃれで温かい微笑みを拝見して、
思わず拝んでしまった。
「盛田正明(Morita Masaaki)」さん。
元ソニー副社長、元ソニー生命会長、そして、日本テニス協会名誉会長。
いつまでもお元気で。
あの頃の私たちは、素晴らしい人格者のそばにいられて幸せだった。
ねえ、ご同輩!
私たちも、紛れもなく、彼の申し子ですよね。