2019年03月05日 18時25分更新
生命保険会社の手数料目当てに乗り合い代理店が顧客意向に沿わない商品を売り込むのを防ぐため、生保各社が手数料体系の見直しを進めていることが分かったと報じられました。
そもそも「売って欲しい」という理由から、商品に差が無いので保険会社自体が手数料を高く設定して差別化を図っていたものですが、そういう流れからすれば「自粛」という感じでしょうか。
最近話題の「節税保険」も、金融庁は商品認可の際にあくまで純保険料部分をチェックして付加保険料まではチェックしていなかったので「金融庁認可」されてきましたが、金融庁の遠藤長官が「保険会社の経営として美しくない」発言があり、今後は付加保険料部分まで踏み込んでチェックされる可能性が出て来ましたので、付加保険料の一番大きな要素である手数料体系は変えざるを得ないという状況だと思います。
しかも、銀行窓口などで販売される外貨建て保険でも元本割れリスクを十分説明していないと苦情が相次ぎ、生命保険協会もこの実態を認めたため、同様の措置を検討する動きが浮上してくることは必然かと思います。
更に、金融庁は高齢者が強引な販売手法の標的にされているとみて実態調査に乗り出すとも報道されていて、その要因である高い手数料体系を可及的速やかに変えないと、結果、そもそもの要因が「手数料体系競走」にあると断定されると、全商品の初年度手数料の見直しにも至る可能性があり、保険代理店業界は大きく変貌しますね。
生保各社が売り上げを伸ばしたい主力商品の手数料を上乗せしたことで顧客にこうした商品ばかりを勧める代理店が相次ぎ、金融庁が問題視し、平成29年12月以降は各社が上乗せ措置を自粛、生保各社はファイナンシャルプランナー資格を持つ職員の数など顧客対応のレベル次第で手数料を上乗せする方向で業界の意思統一を図っており、平成32年度までに手数料体系を見直すとしています。不適切な販売をすると結果的に損をする仕組みで再発を防ぐ構えと報じられています。
保険会社が決めた数値目標を達成できるとボーナス手数料が出たり、規模が大きい代理店は募集人の管理状況に関係なくインセンティブ報酬が支払われてきたりして、保険代理店経営者の感覚が「お客様の為でなく自分自身の利益の為に」に大きく移行し、こうした「金儲けだけの保険代理店」が多くなったことも事実です。そのために「質」でなく「量」を目指す代理店が多く、手数料そのものの見直しは「お客様の為に」に回帰させるには仕方ないかとも思いますが、きちんとお客様に寄り添って真摯に取り組んでいる募集人にとっては納得できないと思いますので、ここの調整が課題だと思います。
生保各社も一律の対応をするのでなく、代理店の「質」を判断して「質の悪い」代理店の手数料のみを検討すべきかと考えます。
保険という社会的使命の高い商品を販売している保険代理店は、お客様や地域全体に社会的貢献が出来てこそ存在意義があると思います。一般社団法人保険健全化推進機構結心会の会員保険代理店はこうした社会貢献を考えて活動しています。この取組みの「差」が出て来ますね。
前の記事
次の記事