2016年12月07日 18時16分更新
三井住友海上社は11月に国内で初めて「仮想通貨を巡るトラブルに対応する保険」を売り出しました。
仮想通貨がサイバー攻撃などで盗まれたり、消失した際の被害を補償するという保険になります。仮想通貨の利用者はビットフライヤーのような専門の取引所に口座を設け手数料を支払って仮想通貨を売買していますが、当該保険は取引所自身の被害だけでなく、口座に預けてあった利用者の仮想通貨も補償の対象となるそうです。補償額は1000万~10億円で、保険料は取引所の手数料収入の額に応じ数十万~数百万円になるそうです。サイバー攻撃のような不正アクセスだけでなく、取引所の従業員のミスや不正なども補償範囲に含まれ、更に被害者への通知や海外からの賠償請求にも対応するというものとのことです。
ビットコインと言えば、経営者による横領で2014年に経営破綻した取引所マウントゴックスの事件以降、国内では仮想通貨へのマイナスイメージが残っていますので、保険でカバーすることで不信感が払拭出来れば良いと考えます。
5月に成立した改正資金決済法では仮想通貨をプリペイドカードなどと同じ「支払い手段」と定義づけました。要するに国が仮想通貨を推進しているのです。大手銀行でも三菱UFJフィナンシャル・グループが「MUFGコイン」の開発を発表するなど、仮想通貨を巡る取り組みは広がっています。調査会社シード・プランニングが8月にまとめた試算によると、2017年のビットコインの取引高は、2016年の4倍になると推定しており、国の施策を後押しする意味でも価値のある保険だと考えます。
そして、当該社は昨日の報道で、来年1月から投資信託などの「金融商品の説明が不十分として訴えられた際の賠償費用を補償する保険」を販売すると発表しました。
なかなか攻めますねー。三井住友海上社!
顧客本位の業務運営を意味する「フィデューシャリー・デューティー」が注目されるなかで、金融商品の販売ノウハウが少ない地方銀行や信用金庫などの中小金融機関を念頭に置いての販売とのことで、例えば為替変動リスクがある商品について十分説明せずに契約し、顧客から損害賠償請求を受けた場合などを想定しての保険となっています。更に、サイバー攻撃による顧客情報の流出や顧客への融資停止などで損害賠償が発生した場合の賠償費用や事故対応で生じた広告宣伝費用なども対象にするということで、多くの金融機関は挙って加入するのではないでしょうか。保険料は年200万~300万円で、保険金額は損害賠償金が最大10億円、弁護士に支払う着手金などの費用保険金が同5億円だそうです。
「旬」な保険は良いですね。
しかも「社会性の高い」二つの保険は、非常に面白いと思います。旬な保険商品を提案するだけで楽しくなりますよね。
三井住友海上社は結心会の会員でもありますが、保険会社の姿勢として高く評価できると思いますね。
前の記事
次の記事