2016年09月08日 18時55分更新
「代理店賠償責任保険」をご存知でしょうか。
多くの損害保険代理店が加入している専門職業賠償責任保険になります。
満期の案内を忘れて更改手続きをしない間に火災事故が発生し、顧客から「満期の案内が不十分だったので火災事故による損害を賠償するように請求された」という事案が過去にはあったそうです。顧客保護という観点から考えれば全代理店が代理店賠償責任保険に加入出来れば良いのでしょうが、現状はそうではありません。
加入する場合、現状、三つの方法があります。
代表的なのが「日本損害保険代理業協会」(以下、代協)の会員に限定された代理店賠償責任保険でしょうか。代協に加入すればエース損保社の代理店賠償責任保険に加入することが出来ます。1万店を超える代理店さんが加入されていると聞いていますが、これが一番有名だと思います。エース損保社も「代協」のフィルターを通すことによって加入者を絞り込んで引き受けているのだと思います。
二つ目の方法は、AIUの代理店会に加入している代理店限定でAIU社の代理店賠償責任保険に加入することが出来ます。これもAIUの専業代理店会に加入している代理店限定での保険のようで、聖域に近い感覚です。AIU社での満期案内に不備があって事故が生じた際に保険金支払いが出来ず、顧客から代理店に損害賠償が発生した場合にAIU社の保険を使うというのは元来不合理な話ですので聖域にしていても仕方ない感じがします。
三つめは、ロイズ・ジャパン社の代理店賠償責任保険です。ブローカーを通じて100社以上の代理店が加入していると聞いています。ここに加入している代理店は収入保険料で30億円を超すような大型代理店が多いようで、年間保険料も一代理店で100万円程度するようです。この保険もブローカーを通じて加入となりますので、恐らく審査が厳しく簡単には加入できないという感じがしますね。
この様に本来「顧客保護」の観点から考えれば、全代理店が加入した方が良いと考える代理店賠償責任保険は加入するための障壁が高くそびえている感じがします。
現在、損害保険代理店は全国で20万店を超すにも関わらず、代理店賠償責任保険加入代理店は恐らく1万店強というところだと思います。
残念ながら日本社で当該保険の引受は難しいでしょうね。
A保険会社の代理店Bが満期案内を怠り、この間に火災事故が発生し保険金が支払われないで顧客Cが損害を被り、CがBを訴え、結果、A保険会社の賠償責任保険金でBがCに賠償するという構図は流石に無理があると思います。従って、現在は、エース損保、AIUといった外国保険会社とロイズ・ジャパンといったブローカー経由で無いと引受出来ない現状となっている訳です。
ご意見は色々とあるとは思いますが、金融庁が提唱する「顧客本位」を実現するためには、こうした部分も検討する時期に来ているのではないかと、ふと考えてみました。
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