2016年08月04日 19時36分更新
株式会社ボルテックスという会社が「ハワイに保険子会社を設立した」とのニュースが流れました。
当該社は、平成11年4月13日設立、資本金 1億450万円、事業内容は、収益不動産を核とした資産形成コンサルティング、収益不動産の組成、売買および仲介、賃貸、管理、マンション管理適正化法に基づく管理業務、そして損害保険の代理業をされている会社の様です。
子会社設立の目的は、当該社グループビジネスのリスクマネジメントにおける損害保険事業を担うためで、設立の背景として「自社の保有物件や在庫物件といった事業系不動産に十分な地震保険を付保することは、現在の日本の損害保険では困難でありましたが、 ミュンヘン再保険にリスクを直接引き受けてもらうことで可能となり、 その再保険業務を積極的に誘致している米国ハワイ州に保険業専業の子会社を設立致しました。」と発表されています。資本金等は、250,000USト゛ルとのこと。
久しぶりに「キャプティブ」のニュースを見ましたね。
「キャプティブ」とは「再保険会社」のことを言います。日本の保険会社が保険を引き受けますが、通常、保険会社自体が再保険会社に保険加入することで「リスクヘッジ」するのは保険業界の通例です。再保険の良い例で使われるのは「3億円事件」。昔、東芝府中工場へのボーナス3億円が現金輸送されていたところ警察官を装った人物に奪取されたという事件ですが、保険金3億円支払った保険会社が再保険に加入していて実質の負担金は1000万円程度だったということで再保険が注目されました。また、ニューヨークの同時多発テロで世界貿易センタービルが破壊されましたが、これが原因で再保険が世界を駆け巡り、最終的に日本の保険会社が倒産するに至りました。
キャプティブは保険会社だけでなく、企業が自ら再保険会社を作っています。自身で作るとお金や管理に人が必要となりますので簡単に再保険をレンタルも出来ます。純粋に再保険会社を作る場合「ピュアキャプティブ」、レンタルで管理等を委任する場合「レンタキャプティブ」と称しています。
大企業は自社管財物件を単純に機関代理店を作り、そこで損害保険等を加入しても、保険会社から入ってくる手数料は決められた額にしかならないので、再保険会社を作り、保険会社で契約した自社管財物件等を自社系列の再保険会社に再保険させ、再保険会社として事故が無ければ、再保険会社として収益を上げる仕組みで以前は当たり前のように企業が自社系列再保険会社を持っていましたが、最近では稀な感じになっています。例えば、ドコモショップで携帯電話を買われた際に保険の提案がありますが、これも一旦国内の大手損害保険会社が引き受けますが、この大手保険会社が保険の一部をドコモ系列の再保険会社に再保険をつけることで、事故が無ければ大きな収益が残ります。
こうして単純に保険加入するだけでなく、自らが再保険会社を作ることで「収益を挙げられる」ことがキャプティブを作る目的の一つですね。でも主たる目的は、このニュースの会社のように「再保険会社を作ることで自らの考える保険商品を創る」ということだと思います。
「キャプティブ」!!
皆さんも設立を検討されてみませんか?
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