2012年04月22日 16時10分更新
前回のパート1では、国のバランスシート面から破綻の可能性が少ないことを述べましたが、パート2ではわが国の対外純資産額の面から破綻の可能性を述べてみましょう。
皆さんは「外貨準備高」という言葉を見聞きしたことがあるはずです。
外貨準備高とは、ある国の政府、たとえば日本政府が保有する米国債券のような対外資産のことを指しています。
ちなみに、個人や生命保険会社などの民間が保有する外貨建て資産は「外貨準備高」にはカウントされません。
そこで、日本全体の対外資産はどうなっているのかと言えば、2010年末現在で563.5兆円(表参照)です。
この563.5兆円はグロスの数字であって、負債も加味した純資産が本当の対外純資産ということになります。
負債が312兆円なので、対外純資産は251.5兆円になります。
実はこの数字、バブル崩壊後の1990年から日本はずっと1位を継続しているのです。
表は2010年と2009年の数字が混在(出所=財務省HP)していますが、仮に全て2010年末の数字になったとしても、日本が2位になることは考えられません。
この表が何を意味するのかと言われれば、わが国は20年間に渡って世界にお金を貸し付けている「お金持ち」の国であるということがわかるはずです。
主要国だけの数字ですが、ユーロ圏ではドイツだけが純資産国、後は軒並み純負債国です。
米国に至っては、日本と数字が全く逆の252兆円の対外純負債国なのです。
単純に考えれば、わが国の財政が本当に危ういとなれば、まずはよその国に貸し付けている資金を回収することでしょう。
百歩譲って、国が保有する米国債は売ることができなくても、個人や生命保険会社などの民間部門は有無を言わさず資金を回収するはずです。
なぜなら、東日本大震災後の3月17日早朝、それまでの円の史上最高値である79円75銭(1995年4月)を約16年振りに上回ったことを覚えている人も多いことでしょう。
大震災発生により、わが国の生命保険会社などが保険金支払いのために、対外資産を売却するとの疑心暗鬼によるベッジファンド筋の思惑による円の急騰だったからです。
この件(思惑だったが)でわかるように、お家一大事であれば民間は、国内資産の売却ではなく、まず対外資産を売却する可能性が高いのです。
仮に、本当に資金回収に走ったならば、わが国から資金を借りている米国を始めとした純負債国が、先におかしくなってしまう可能性が高いと言えるでしょう。
つまり、対外純資産が世界一である以上、日本がどこの国よりも先に国家破綻をきたすことは到底ありえないと考えられるわけです。
「わが国がギリシャになっていいのか」と、散々騒いでいた政治がおりましたが、パート1の内容を含め、わが国の本当の姿をどこまで理解していたのか疑問が残るところです。
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