2017年06月01日 17時43分更新
昨年5月29日に改正保険業法が施行されて1年が経ちます。
この一年間で色々な変化があり、「フィデューシャリー・デューティ」、「プリンシプル」、「ベスト・プラクティス」等々といったカタカナの用語が普通に使われるようになりました。
そこには金融庁自体の改革があります。
今回は、金融庁が推し進める三つの改革を理解しましょう。
①金融庁の改革
皆さんは、金融庁の存在意義をご存知でしょうか。
それは「国民の厚生の増大」です。
つまり、金融庁は「国民、生活者のためにある」のです。
そのために「業界規制庁」から「産業育成庁」に変わろうとしています。
今の金融庁の凄いところは、「過去のやり方は間違っていた」と認めたことです。
「過去のやり方が間違っていたので改める」として、言い方は適切ではないかもしれませ
んが、野球で言うと「アンパイア」から「コーチ」にいきなり変わろうとしています。
金融庁が出来て20年で、金融庁自体が改革を率先して取り組んでいるのです。
②地方銀行改革
そして、改革の主軸を地方銀行改革に持って来ました。
現在、個人資産の総合計は1700兆円、そのうち預貯金は920兆円と言われています。
こうした個人資産を「再起動」させるために銀行改革を推し進めています。
昨年の「地方銀行窓販での保険商品販売手数料自主開示」も、この流れの一環ですね。
金融庁は、銀行の数が明らかに過剰と解釈していて、能力のない銀行はいらないと明言し
ています。
能力のない銀行とは、例えば担保を取ってお金を貸す行為を指します。
金融庁は、担保を取ってお金を貸す行為は小学生でも出来る行為であり、金融のプロであ
る銀行員は企業の将来性であったり、地域への将来の貢献度であったりといった幅広い
尺度から判断して融資すべきであり、企業を育成する役割を担うべきだとしています。ま
さに正論ですよね。
そのために銀行への検査の在り方を変えるとしました。従来の重箱の隅をつつくような
検査を止め、本来あるべき金融の仕事をしているかの検査に変えるとしました。地方銀行故に、それなくして地元で存在価値はないとし、自分達が金融機関として仕事をすれば、リターンを得ることが出来るはずと指摘しています。
③資産運用改革
預金を投資信託等にシフトさせ、預貯金で眠っている920兆円を再稼働させる改革で
す。そのための一つとして資産運用を活性化するために個人投資家向けの勉強会を普及
させたいと言ってます。日本では金融の勉強を子どもの頃からやっていないので、お金が
お金を生むやり方自体を好まない傾向にありますよね。これを欧米並みに近づけたいと
動いていて、投資商品自体の認可も積極的に動いています。
個人投資拡大を期待して登場したジュニアNISAは記憶にある方も多いと思いますが、
意外にも9万件しか売れず、ついに来年1月、金融庁が押し切った形で「積立NISA」
が登場します。
以上が金融庁の推し進める3つの改革です。この基本ラインを踏まえて、保険業界は如何になるべきかを考えていく必要があると思います。
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